最新記事

人間関係

スタンフォード大MBA学生の9割が受講する「人間関係」の授業の中身

2021年10月5日(火)18時19分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部
コミュニケーション

stockstudioX-iStock

<スタンフォード大学MBAの9割が受講する「インターパーソナル・ダイナミクス(人間関係の力学)」。世界のリーダーを目指す学生たちは、理論と実践で人間力を磨いている>

コロナ禍がもたらしたことの一つに、人間関係の「シンプル化」があるだろう。人との接触が極端に制限される中で、新たな関係を築くのは難しかった。とはいえ、社会生活を送るうえで人との関係はゼロにはならない。家族やパートナー、友人や同僚との関係は、これまで以上に重要で貴重なものに感じられたのではないだろうか。

この度、『スタンフォード式 人生を変える人間関係の授業』(CCCメディアハウス)が上梓された。本書は、アメリカの名門スタンフォード大学のビジネススクールで50年以上にわたり開講されている講義をまとめた1冊だ。

人間関係というソフトスキルがもたらすのは、ビジネス上の成功だけではない。人生におけるあらゆるパートナーシップを築くうえで知っておきたい関係構築の法則が実践的に書かれている。

本書の著者は、デイビッド・ブラッドフォードとキャロル・ロビンの2人。今ではこの本を共同で執筆するほど格別の関係を築いている彼らだが、実は過去には関係が崩壊寸前になったことがあるという。縁が切れる瀬戸際まで追い込まれても、そこからどうやって関係を修復できたのかも気になるところだが、まずは人間関係の深め方から考えていこう。

自分をさらけ出す「15%ルール」

人間関係はどれ1つとして同じではないが、関係が深まるプロセスには似たようなパターンが見られる。よくあるのは、音楽やハイキングのような共通の趣味から始まる関係。逆に、計画を立てて主導するのが好きな人と、そういう作業を面倒に感じる人という具合に、正反対のタイプの組み合わせもあり得る。

浅い関係がちょうどいい相手もいるだろうが、関係を深めたい相手もいるだろう。その場合は互いを知るという初期のステージを超えて、より率直かつプライベートなコミュニケーションへと足を踏み入れていくことになる。そこではリスクを冒して心の内をさらけ出すレベルを劇的に引き上げる必要がある。

ここで、本書で紹介されている「職場の同僚であるエレーナとサンジェイ」の例を見てみよう。
「エレーナとサンジェイは別の部署の所属だが、1年ほど前に技術審査のプロジェクトに携わった際に知り合った。2人は互いの発想を生かし合い、意見の相違も前向きに乗り越え、プロジェクトが終わった後も、2人は定期的にランチで近況を報告し合っている。アウトドアが互いに好きなこともあり、家族ぐるみでの付き合いもある。友情も感じるし、仕事の相談もできる貴重な友人であるとエレーナは感じている。

一方、同じ職場であることで、自分が過去の汚点と感じているあることをサンジェイにエレーナは話すことができず、今朝起こった同僚との揉めごとについて相談できないでいる」

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米・イランが間接協議、域内情勢のエスカレーション回

ワールド

ベトナム共産党、国家主席にラム公安相指名 国会議長

ワールド

サウジ皇太子と米大統領補佐官、二国間協定やガザ問題

ワールド

ジョージア「スパイ法案」、大統領が拒否権発動
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:インドのヒント
特集:インドのヒント
2024年5月21日号(5/14発売)

矛盾だらけの人口超大国インド。読み解くカギはモディ首相の言葉にあり

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 2

    「EVは自動車保険入れません」...中国EVいよいよヤバいのか!?

  • 3

    SNSで動画が大ヒットした「雨の中でバレエを踊るナイジェリアの少年」...経験した偏見と苦難、そして現在の夢

  • 4

    「まるでロイヤルツアー」...メーガン妃とヘンリー王…

  • 5

    「隣のあの子」が「未来の王妃」へ...キャサリン妃の…

  • 6

    時速160キロで走行...制御失ったテスラが宙を舞い、4…

  • 7

    日本とはどこが違う? 韓国ドラマのオリジナルサウン…

  • 8

    チャールズ英国王、自身の「不気味」な肖像画を見た…

  • 9

    「裸に安全ピンだけ」の衝撃...マイリー・サイラスの…

  • 10

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた…

  • 1

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 2

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する悲劇の動画...ロシア軍内で高まる「ショットガン寄越せ」の声

  • 3

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両を一度に焼き尽くす動画をウクライナ軍が投稿

  • 4

    原因は「若者の困窮」ではない? 急速に進む韓国少…

  • 5

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 6

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた…

  • 7

    「EVは自動車保険入れません」...中国EVいよいよヤバ…

  • 8

    北米で素数ゼミが1803年以来の同時大発生、騒音もダ…

  • 9

    SNSで動画が大ヒットした「雨の中でバレエを踊るナイ…

  • 10

    プーチン5期目はデフォルト前夜?......ロシアの歴史…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 4

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 5

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 6

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 7

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 8

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 9

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 10

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中