最新記事

ビジネス

仕事が遅い人が信じている「3大悪習慣」 脳科学で高速に仕事を片付けよ

2021年7月12日(月)11時35分
上岡正明(脳科学者 ) *東洋経済オンラインからの転載

大切なことなので、もう一度言います。行動につながるトリガーを上手に使えば、脳をコントロールすることができます。

今日はやる気が起きないなというときでも、「5秒ルール」で強制的に行動を起こしてしまいましょう。そうすれば、あなたの意思とは関係なく、やる気があふれてきます。実際、脳の側坐核という部位が行動によって刺激され、ドーパミンが分泌されることもわかっています。

「5秒ルール」は普段の仕事でも使えます。目を閉じて、数字を思い浮かべてカウントダウンを口にする。この行動によりグダグダ悩む時間がなくなり、仕事のスタートダッシュとスピードが格段にアップします。

入念な事前準備は脳科学的には最悪

行動を始めてひとつの物事に集中してフォーカスしていくには、ワーキングメモリ(作業記憶)の消費を最小限に抑えなければなりません。

ワーキングメモリとは、脳の前頭前野が担う機能で、思考力や集中力に直結します。ワーキングメモリは、ゲームでいうところの体力や魔力のようなもので、私たちにはそれぞれ一定の量しか与えられていません。

そのため、あれやこれやとたくさんのタスクを進めていると、ワーキングメモリはどんどん消費され、ひとつの物事にフォーカスする力を失ってしまいます。これを回避するには、とにかく行動を迷わせる選択肢を減らしていくだけです。

人間は選択肢が多いほど、行動に起こせません。どれがいいか判断を迫られ、それだけでワーキングメモリが浪費されていくからです。

事前準備が好きな人は、行動を始めるにあたってインプットを繰り返し、さまざまな計画を練ります。プランA、B、C、D、E、F......と、可能性のある事柄を洗いざらいにしておき、そこから最適なプランを選べばいいと考えます。

しかし、脳科学的にはこれは最悪です。選択肢が増えれば増えるほど、あなたのワーキングメモリは浪費され、身動きが取れず、かえって迷いに支配された散漫な働き方になってしまいます。

行動を始めるにあたって計画を練る必要があるならば、最大でもプランA、B、Cの3つもあれば十分です。

直感で考えたA、論理的に考えたB、まったく別の切り口で考えた逆張りのC。この3つを持っておけば、必ずそのどれかが正解です。もし間違えたら、すぐに改善して試すまでです。

高速仕事術でアウトプットを繰り返して、高速で経験値を伸ばして直感が磨かれていきます。直感とは、それまでの成功体験や失敗体験が積み重なることで培われていきます。脳のデータベースに正解ルートに至るまでの経験値が多ければ多いほど、正しい直感が働くのです。

たとえば、プロがチェスをする場合、5秒で考えた手も、30分かけた手も、86%は同じであるというデータがあります。つまり、いくら熟考しても結果はほとんど変わらないのです。このことは「ファーストチェス理論」と呼ばれています。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

アップル、1─3月業績は予想上回る iPhoneに

ビジネス

NY外為市場=ドル上昇、円は日銀の見通し引き下げ受

ビジネス

アマゾン第1四半期、クラウド事業の売上高伸びが予想

ワールド

トランプ氏、ウォルツ大統領補佐官解任し国連大使に指
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
2025年5月 6日/2025年5月13日号(4/30発売)

「ゼロから分かる」各国・地域情勢の超解説と時事英語

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に高く、女性では反対に既婚の方が高い
  • 2
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来が来るはずだったのに...」
  • 3
    タイタニック生存者が残した「不気味な手紙」...何が書かれていた?
  • 4
    ウクライナ戦争は終わらない──ロシアを動かす「100年…
  • 5
    インド北部の「虐殺」が全面「核戦争」に発展するか…
  • 6
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新…
  • 7
    悲しみは時間薬だし、幸せは自分次第だから切り替え…
  • 8
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」では…
  • 9
    クルミで「大腸がんリスク」が大幅に下がる可能性...…
  • 10
    朝1杯の「バターコーヒー」が老化を遅らせる...細胞…
  • 1
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 2
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 3
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新研究】
  • 4
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 5
    ロシア国内エラブガの軍事工場にウクライナが「ドロ…
  • 6
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に…
  • 7
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 8
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来…
  • 9
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 10
    私の「舌」を見た医師は、すぐ「癌」を疑った...「口…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 4
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 5
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 6
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 7
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 8
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 9
    クレオパトラの墓をついに発見? 発掘調査を率いた…
  • 10
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中