最新記事

ゲーム

展望2021:活況のゲーム業界、「巣ごもり」後に試されるソニー・任天堂

2021年1月4日(月)09時00分

 新型コロナウイルスの影響による「巣ごもり」需要で活況となったゲーム市場は、来年もその勢いが持続するかが試される。写真はゲームで遊ぶ男性。ロンドンで2018年6月撮影(2021年 ロイター/Tom Jacobs)

新型コロナウイルスの影響による「巣ごもり」需要で活況となったゲーム市場は、その勢いが持続するかが試される。コロナ禍が収束に向かう場合、ソニーや米マイクロソフトと、任天堂とではユーザー層の違いから、巣ごもりの反動の生じ方が異なるとの見方もある。足元では世界的な半導体需要の拡大で部品不足の懸念もくすぶり、今後の課題となりそうだ。

拡大続ける世界市場

「自宅で余暇を過ごすニーズが増え、家庭用ゲームの需要は相対的に上がった」と、ゲーム情報メディアのファミ通グループの林克彦代表は、2020年の市場環境を振り返る。


世界のゲーム市場は拡大傾向にある。オランダの調査会社Newzooの10月時点の推計によると、20年の家庭用ゲームのユーザーは前年比約1割増の8億人、市場規模は同約2割増の510億ドル。23年の市場は630億ドルに拡大すると予想している。

ゲーム機「スイッチ」の販売を伸ばした任天堂は21年3月期に純利益で前年比16%増の3000億円を予想。実現すれば「ニンテンドーDS」や「Wii」が好調だった09年3月期以来、過去最高を更新する。

20年の年末商戦には、ソニーが「プレイステーション5(PS5)」、米マイクロソフトが「XboxシリーズX/S」の新型ゲーム機をそれぞれ発売した。ソニーは販売台数で、先代の「PS4」の発売初年度実績である760万台以上を目指すと意気込み、ゲーム事業の営業利益は同25%増の3000億円を予想している。

巣ごもりの反動

もっとも、巣ごもり需要による追い風があった2020年との比較では、販売は圧迫されやすい。仮にコロナ禍が年央ごろに収束に向かった場合、影響が出やすいのはソニーやマイクロソフトだろうと、エース経済研究所の安田秀樹シニアアナリストは話す。

ソニーのPS5やマイクロソフトのXboxと、任天堂のスイッチとの大きな違いはユーザー層だ。PS5やXboxは、先端技術を盛り込んで、高速・高精細な描画を売りにする。ユーザーはもともとゲームに関心のある人が中心で、巣ごもり局面では、ゲーム機を持っていたユーザーのソフト追加購入やサブスクリプション(継続課金)加入が大きく寄与した。新型機は先代に比べてユーザー数がまだ少ない。21年は大型タイトルの端境期とも見られており、コロナ収束で余暇が減れば、巣ごもりで生じた需要が落ち着きかねないという。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

北朝鮮の金総書記、新誘導技術搭載の弾道ミサイル実験

ワールド

アフガン中部で銃撃、外国人ら4人死亡 3人はスペイ

ビジネス

ユーロ圏インフレ率、25年に2%目標まで低下へ=E

ビジネス

米国株式市場=ダウ終値で初の4万ドル台、利下げ観測
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:インドのヒント
特集:インドのヒント
2024年5月21日号(5/14発売)

矛盾だらけの人口超大国インド。読み解くカギはモディ首相の言葉にあり

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 2

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた異常」...「極めて重要な発見」とは?

  • 3

    存在するはずのない系外惑星「ハルラ」をめぐる謎、さらに深まる

  • 4

    「円安を憂う声」は早晩消えていく

  • 5

    中国のホテルで「麻酔」を打たれ、体を「ギプスで固…

  • 6

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 7

    無名コメディアンによる狂気ドラマ『私のトナカイち…

  • 8

    他人から非難された...そんな時「釈迦牟尼の出した答…

  • 9

    「EVは自動車保険入れません」...中国EVいよいよヤバ…

  • 10

    チャールズ英国王、自身の「不気味」な肖像画を見た…

  • 1

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する悲劇の動画...ロシア軍内で高まる「ショットガン寄越せ」の声

  • 2

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などできない理由

  • 3

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両を一度に焼き尽くす動画をウクライナ軍が投稿

  • 4

    原因は「若者の困窮」ではない? 急速に進む韓国少…

  • 5

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた…

  • 6

    北米で素数ゼミが1803年以来の同時大発生、騒音もダ…

  • 7

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々…

  • 8

    大阪万博でも「同じ過ち」が繰り返された...「太平洋…

  • 9

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 10

    プーチン5期目はデフォルト前夜?......ロシアの歴史…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 4

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 5

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 6

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 7

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 8

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 9

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 10

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中