最新記事

金融

ビットコイン、2017年の最高値に近づく 市場成熟でも「通貨」としての決済利用遠く

2020年11月21日(土)13時24分

規制面では、仮想通貨は依然として対象となっていない部分が大半だが、反マネーロンダリングなどの分野で国際基準が導入されており、大口投資家に道を開いている。 

また先月には、決済サービス大手ペイパル・ホールディングスが仮想通貨取引のプラットフォームを開設すると発表。ライバルのスクエアは、全資産の1%をビットコインに投資したことを明らかにしている。

足元では、政府や中央銀行が新型コロナウイルスのパンデミック対策として大規模な財政・金融政策を打ち出し、市場のリスク志向が強まってビットコイン価格が支えられているという点も、17年との違いだ。推進派は、ビットコインの供給上限が2100万と決まっていることが、インフレを促進する政策に対するヘッジになると主張している。

仮想通貨ファンドのデジタル・アセット・キャピタル・マネジメントのリチャード・ガルビン氏は、こうした話を総合してみると、より原則に忠実な考え方をする投資家を含めて、ビットコインの価格設定に参加できる層は広がる余地があると指摘した。

通貨としてのビットコインを阻むスマホ電子決済

もっともインフラが改善し、主流投資家に認知されるようになってもなお、ビットコインの値動きは安定していない。仮想通貨セクターは引き続き不透明で、従来の金融市場に比べれば規制が緩く、取引データは不ぞろいで、相場操縦への懸念がまん延しているからだ。

仮想通貨コンサルタントのコリン・プラット氏は「要するに、ビットコインはリスク性が高い市場で、リスク性が高い資産だということだ」と言い切った。

さらにこれだけビットコインの取引が活発となっても、本来目指したような使われ方をほとんどされていない。AJベルの投資ディレクター、ラス・モールド氏は「採掘と使用にかかるコストや、カードやスマートフォンによる非接触型電子決済が安心して使えるようになったことを踏まえると、ビットコインが『通貨』として幅広く利用されるという保証はない」と述べた。

(Tom Wilson記者 Anna Irrera記者)

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2020トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


【話題の記事】
・コロナが改めて浮き彫りにした「毛皮工場」の存在
・巨大クルーズ船の密室で横行する性暴力



ニューズウィーク日本版 ISSUES 2026
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年12月30日/2026年1月6号(12月23日発売)は「ISSUES 2026」特集。トランプの黄昏/中国AIに限界/米なきアジア安全保障/核使用の現実味/米ドルの賞味期限/WHO’S NEXT…2026年の世界を読む恒例の人気特集です

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米、ナイジェリア北西部でイスラム過激派空爆 トラン

ワールド

ロシア、LNG増産目標達成を数年先送り 制裁が影響

ワールド

バングラデシュ次期首相有力候補が帰国、来年2月に総

ワールド

北朝鮮の金総書記、今後5年のミサイル開発継続を示唆
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 2
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 3
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指すのは、真田広之とは「別の道」【独占インタビュー】
  • 4
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 5
    「時代劇を頼む」と言われた...岡田准一が語る、侍た…
  • 6
    「衣装がしょぼすぎ...」ノーラン監督・最新作の予告…
  • 7
    「個人的な欲望」から誕生した大人気店の秘密...平野…
  • 8
    ノルウェーの海岸で金属探知機が掘り当てた、1200年…
  • 9
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 10
    【銘柄】「Switch 2」好調の任天堂にまさかの暗雲...…
  • 1
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 2
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 3
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツよりコンビニで買えるコレ
  • 4
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低…
  • 5
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 6
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 7
    待望の『アバター』3作目は良作?駄作?...人気シリ…
  • 8
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 9
    懲役10年も覚悟?「中国BL」の裏にある「検閲との戦…
  • 10
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開した…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 5
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 6
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」と…
  • 7
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 8
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 9
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 10
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中