最新記事
国債

コロナ対策で財政ひっ迫する各国が資金獲得競争 100年債や環境債など工夫こらす

2020年7月11日(土)13時11分
ロイター

新型コロナウイルス対策などの影響で世界的に政府の借り入れ需要が膨らみ続け、各国とも投資家の資金をいかに取り込むか知恵を絞らなければならなくなった。ニューヨーク証券取引所で5月撮影(2020年 ロイター/Brendan McDermid)

新型コロナウイルス対策などの影響で世界的に政府の借り入れ需要が膨らみ続け、各国とも投資家の資金をいかに取り込むか知恵を絞らなければならなくなった。そこで100年債、環境債(グリーンボンド)、経済成長と返済額を連動させた個人投資家向け国債などが発行されたり、米国で数十年ぶりに20年債が復活したりするなど、工夫をこらした調達手段が次々に登場している。

ナットウエスト・マーケッツの試算では、米国とユーロ圏、英国における今年の国債の純発行額は約4兆2000億ドルに達する見込み。これは過去4年間の合計発行額にほぼ等しい。

大半は中央銀行の買い入れで吸収されるだろうが、政府としては借り入れコストを抑え続けるためにも、さまざまな調達手段を駆使しながら十分な投資家を確保する必要が出てきている。

今週にはイタリアが経済成長と返済額がリンクする個人投資家向けの国債の募集に乗り出した。年内に再発行することも検討中だ。タイも5月に個人投資家向け国債を売り出しており、ベルギーとフィンランドはドル建て債を発行。ユーロ圏は「共同債」発行の実現に向けて歩み始めつつある。

バークレイズの欧州・中東・アフリカ地域公債責任者リー・クンベス氏は「発行量が増えれば増えるほど、中核的な投資家層との接点を保ち、流動性を確保できる範囲内で、多種多様な市場を探し出そうとする機会が多くなる」と指摘。ドル建て債や期間100年をはじめとする超長期債、物価連動債などが発行される可能性が非常に大きくなっているとの見方を示した。

政府の側からすると、こうした取り組みは投資家層を広げてくれるだけでなく、国内銀行にかかる重圧も和らげてくれる。いざ金融危機が発生した場合、国債保有が銀行に偏在しているとそれ自体がリスクになり得るからだ。

イタリアが個人投資家の国債保有を段階的に現在の2倍まで引き上げようとしている理由の1つもそこにある。売り出しているのは、名目成長率次第で返済額が変わる国債。M&Gインベストメンツの債券責任者ジム・リービス氏は「成長率が高ければ、投資家により多く償還する余裕ができる。成長がさえない場合、利払い負担が軽減される」と説明した。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

米政府機関の一部が短期間閉鎖へ、予算案の下院採決持

ワールド

トランプ氏、労働統計局長にベテランエコノミスト指名

ワールド

焦点:トランプ政権、気候変動の「人為的要因」削除 

ビジネス

アングル:機内WiFiは必需品か、マスク氏とライア
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:高市 vs 中国
特集:高市 vs 中国
2026年2月 3日号(1/27発売)

台湾発言に手を緩めない習近平と静観のトランプ。激動の東アジアを生き抜く日本の戦略とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    180万トンの「リチウムごみ」を資源に...EV電池の「副産物」で建設業界のあの問題を解決
  • 2
    ロシア軍の前線で「弾よけ」にされるアフリカ人...兵士供給に悩むロシアが行う「外道行為」の実態
  • 3
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界でも過去最大規模
  • 4
    日本はすでに世界第4位の移民受け入れ国...実は開放…
  • 5
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパ…
  • 6
    麻薬中毒が「アメリカ文化」...グリーンランド人が投…
  • 7
    日本経済を中国市場から切り離すべきなのか
  • 8
    秋田県は生徒の学力が全国トップクラスなのに、1キロ…
  • 9
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 10
    「外国人価格」で日本社会が失うもの──インバウンド…
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」と「フリース」に移った日
  • 3
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界でも過去最大規模
  • 4
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 5
    180万トンの「リチウムごみ」を資源に...EV電池の「…
  • 6
    一人っ子政策後も止まらない人口減少...中国少子化は…
  • 7
    スペースXの宇宙飛行士の帰還が健康問題で前倒しに..…
  • 8
    町長を「バズーカで攻撃」フィリピンで暗殺未遂、大…
  • 9
    ロシア軍の前線で「弾よけ」にされるアフリカ人...兵…
  • 10
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 3
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した──台湾高官が分析
  • 4
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 5
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 6
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 7
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 8
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチ…
  • 9
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
  • 10
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中