最新記事

アメリカ経済

米、新型コロナの経済再開から1カ月 回復速い地域ほど感染拡大するジレンマ

2020年6月15日(月)11時28分

米経済は活動再開から1カ月の節目を迎えるが、景気回復のペースおよび継続性も、米国がコロナウイルスの感染を抑え込めるかどうかも、依然として不透明だ。写真は5月28日、カリフォルニア州コマースの商業施設で撮影(2020年 ロイター/Mike Blake)

米経済は活動再開から1カ月の節目を迎えるが、景気回復のペースおよび継続性も、米国がコロナウイルスの感染を抑え込めるかどうかも、依然として不透明だ。

携帯電話の位置情報や従業員の勤務時間管理、週間失業保険申請件数といったデータは、景気回復が着実に進んでいることを示している。だが統計は州による違いが鮮明な上、経済活動の回復ペースが速い場所ほど感染が広がっていることを示す証拠もある。

こうした状況は、政策決定者が今後数週間で厳しい選択を迫られることを意味しているのかもしれない。

ムニューシン米財務長官は、新型コロナの感染が今後どのようになるにせよ、米経済を再び封鎖することはないと表明した。このため、公衆衛生上の不安と、厳しい感染抑止策の復活に対する忍耐力の低下を天秤にかける仕事は、州・地方政府に委ねられるだろう。

同時に、経済活動は急速に回復しているわけではなく、一律に改善してもいない。つまり米国内は、新型コロナ対応の潜在的な勝者と敗者にゆっくりと分かれつつあり、経済的影響を和らげるための緊急支援を追加すべきかどうかを巡る米議会の審議は、危うい綱渡りとなっている。一部の中小企業向け支援は既に期限を迎えつつあり、多くの労働者にとって、失業保険給付の拡充は7月下旬までの時限措置だ。

従業員の勤務時間管理を手掛けるホームベースが集計した中小企業のデータによると、事業を再開した企業は雇用が休業前の水準に素早く回復している一方、全国平均の雇用は低調にとどまっている。理由としてホームベースは、非常に多数の企業が事業を全く再開できていないと説明している。

調査会社マクロポリシー・パースペクティブのジュリア・コロナード社長は、人との接触が必要な職種では、経済的利益か健康かの選択を迫られる状況にあり、「こうした状況は長引くだろう」と話した。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

S&P、フランスを「Aプラス」に格下げ 財政再建遅

ワールド

イスラエルがガザ空爆、26人死亡 その後停戦再開と

ワールド

パキスタンとアフガン、即時停戦に合意

ワールド

台湾国民党、新主席に鄭麗文氏 防衛費増額に反対
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:日本人と参政党
特集:日本人と参政党
2025年10月21日号(10/15発売)

怒れる日本が生んだ「日本人ファースト」と参政党現象。その源泉にルポと神谷代表インタビューで迫る

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号返上を表明」も消えない生々しすぎる「罪状」
  • 2
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多い県」はどこ?
  • 3
    本当は「不健康な朝食」だった...専門家が警告する「実は避けるべき」一品とは?
  • 4
    ニッポン停滞の証か...トヨタの賭ける「未来」が関心…
  • 5
    ギザギザした「不思議な形の耳」をした男性...「みん…
  • 6
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
  • 7
    「認知のゆがみ」とは何なのか...あなたはどのタイプ…
  • 8
    自重筋トレの王者「マッスルアップ」とは?...瞬発力…
  • 9
    「中国は危険」から「中国かっこいい」へ──ベトナム…
  • 10
    【インタビュー】参政党・神谷代表が「必ず起こる」…
  • 1
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号返上を表明」も消えない生々しすぎる「罪状」
  • 2
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以外の「2つの隠れた要因」が代謝を狂わせていた
  • 3
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多い県」はどこ?
  • 4
    まるで『トップガン』...わずか10mの至近戦、東シナ…
  • 5
    フィリピンで相次ぐ大地震...日本ではあまり報道され…
  • 6
    中国人が便利な「調理済み食品」を嫌うトホホな理由…
  • 7
    日本で外国人から生まれた子どもが過去最多に──人口…
  • 8
    「心の知能指数(EQ)」とは何か...「EQが高い人」に…
  • 9
    「欧州最大の企業」がデンマークで生まれたワケ...奇…
  • 10
    イーロン・マスク、新構想「Macrohard」でマイクロソ…
  • 1
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 2
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ監督が明かすプレーオフ戦略、監督の意外な「日本的な一面」とは?
  • 3
    カミラ王妃のキャサリン妃への「いら立ち」が話題に...「少々、お控えくださって?」
  • 4
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 5
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 6
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 7
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最…
  • 8
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外…
  • 9
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 10
    【クイズ】日本人が唯一「受賞していない」ノーベル…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中