最新記事

航空機

コロナショックに苦しむ日本の航空業界 夏が行き先占う分岐点

2020年4月6日(月)08時39分

新型コロナウイルスの世界的な感染拡大による需要急減が、航空会社の経営に打撃を与えている。写真は羽田空港で2013年8月撮影(2020年 ロイター/Toru Hanai)

新型コロナウイルスの世界的な感染拡大による需要急減が、航空会社の経営に打撃を与えている。ANAホールディングスや日本航空(JAL)は大幅減便・運休などで対応しているが、感染の終息は見通せず、金融市場でも信用力への懸念が出ている。業績の先行きを占う上で、本来なら繁忙期であるはずの夏をどう迎えるかが鍵になりそうだ。

GWの予約も状況変わらず

「数時間立っていても、乗客2人に対応する程度」――。成田空港国際線カウンターで働くスタッフは、ここ1カ月余りの空港の様子をこう語る。例年、忙しい時間帯には約30組が並び、トイレに行く暇もないが、今は人の気配がない。

感染拡大を防ぐため、各国は渡航規制を強化。日本政府も世界の約3分の1強となる計73カ国・地域を渡航中止勧告の対象とし、国民に外出自粛も要請している。

4月の予約数はANA、JALともに国際線が約8割減、国内線は約6割減となり、運航数も国際線で9割近く、国内線で2割に相当する減便に追い込まれている。両社はゴールデンウィーク(GW)期間中の減便・運休を近く発表するが、関係者は「GW中の予約も4月とほぼ同じ状況で、同規模の減便・運休が続くだろう」と話す。

国内航空19社が加盟する定期航空協会によると、コロナの影響による2―5月までの業界全体の減収は約5000億円で、2008年のリーマン・ショック時の約3000億円をすでに上回る。事業環境は悪化しており、この状態が1年間続けば2兆円は下らないことになる。協会は国に政府保証付き融資、着陸料や空港使用料、燃料税などの減免、雇用調整助成金の引き上げなどを求めている。

国土交通省は、国管理空港などで2月分から半年間の使用料徴収を猶予する。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米家計・銀行・企業の財務状況は概ね良好=クックFR

ワールド

ガザ南部、医療機関向け燃料あと3日で枯渇 WHOが

ワールド

米、対イスラエル弾薬供給一時停止 ラファ侵攻計画踏

ビジネス

米経済の減速必要、インフレ率2%回帰に向け=ボスト
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:岸田のホンネ
特集:岸田のホンネ
2024年5月14日号(5/ 8発売)

金正恩会談、台湾有事、円安・インフレの出口......岸田首相がニューズウィーク単独取材で語った「次の日本」

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地ジャンプスーツ」が話題に

  • 2

    「自然は残酷だ...」動物園でクマがカモの親子を捕食...止めようと叫ぶ子どもたち

  • 3

    習近平が5年ぶり欧州訪問も「地政学的な緊張」は増すばかり

  • 4

    いま買うべきは日本株か、アメリカ株か? 4つの「グ…

  • 5

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 6

    日本の10代は「スマホだけ」しか使いこなせない

  • 7

    迫り来る「巨大竜巻」から逃げる家族が奇跡的に救出…

  • 8

    イギリスの不法入国者「ルワンダ強制移送計画」に非…

  • 9

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 10

    ケイティ・ペリーの「尻がまる見え」ドレスに批判殺…

  • 1

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地ジャンプスーツ」が話題に

  • 2

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受ける瞬間の映像...クラスター弾炸裂で「逃げ場なし」の恐怖

  • 3

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国の研究チームが開発した「第3のダイヤモンド合成法」の意義とは?

  • 4

    屋外に集合したロシア兵たちを「狙い撃ち」...HIMARS…

  • 5

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミ…

  • 6

    外国人労働者がいないと経済が回らないのだが......…

  • 7

    「500万ドルの最新鋭レーダー」を爆破...劇的瞬間を…

  • 8

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロ…

  • 9

    サプリ常用は要注意、健康的な睡眠を助ける「就寝前…

  • 10

    ウクライナ軍ブラッドレー歩兵戦闘車の強力な射撃を…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 6

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 7

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 8

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体…

  • 9

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 10

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中