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中国工場停止に続きベトナムから渡航制限 韓国企業に「ウイルスドミノ」続く

2020年3月11日(水)10時34分

LGのサプライヤーである別の韓国企業の最高経営責任者(CEO)は「難渋している。現地に行って仕事ができないからだ」と言う。

この企業はホンダや独BMW、韓国の現代自動車が利用するカーナビシステム用の自動製造設備を造っており、やはり亀尾市に拠点を置く。ベトナムにエンジニアを派遣できないため、機器設置が遅れるとの懸念がある。

「危機が2、3カ月続けば、深刻な問題が起こる」とCEOは語った。

技術面の改善指導や品質管理に当たるエンジニアが現地にいることは、作業を進める上で決定的に重要だ。専門家は「管理職ならビデオ会議を開くことも可能だが、生産エンジニアは問題解決のために現地に行かねばならない」と言う。

アップルも注視

アップルは、韓国のLGディスプレーからディスプレーを、LGイノテックからカメラモジュールを、サムスン電子からメモリーチップやディスプレーなどを購入している。

アップルのティム・クックCEOは前週、フォックス・ニュースのインタビューで「ここ数日で注目は中国から、韓国とイタリアに移ったと考えている。両国の動向を注視し、新たな動きがないか目を配ることは非常に重要だ」と述べた。

「わが社のサプライチェーンは、相対的には中国の方が重要だが、韓国でも重要なビジネスを行っている。韓国、イタリアにもサプライヤー企業があり、イタリアにも重要なビジネスがある。今後の展開を見守る必要がある」とクック氏は語った。

(Hyunjoo Jin、Heekyong Yang記者)

[ソウル ロイター]


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