最新記事

途切れた「火曜日の日本株高」 海外勢による買い一巡を不安視

2019年11月21日(木)15時00分

東京株式市場では日経平均が大幅続落し、11月1日以来となる2万3000円割れとなった。写真は都内にある証券会社の株価ボード前で2015年8月撮影(2019年 ロイター/Thomas Peter)

東京株式市場では日経平均が大幅続落し、11月1日以来となる2万3000円割れとなった。米中対立がさらに激化するとの懸念に加えて、「火曜日の株高」が途切れたことで海外勢の買いが一巡したのではないかとの見方が出ている。

財務省が21日発表した11月10─16日の対内株式投資 (指定報告機関ベース)は1103億円の買い越しとなった。買い越しは続いたものの、それまでの5000億円ペースから規模は縮小した。

大和証券のチーフテクニカルアナリスト、木野内栄治氏は、株価は8月以降、毎週火曜日の上昇が続いていたが、それが今週途切れたことを指摘する。

木野内氏によると、海外勢がリバランスを行うのが週明けで、それを日本株に反映させるのは火曜日になるため、海外勢の姿勢が変わった可能性があるという。その上で「今週に入って売り越しに転じた可能性もあり、これもきょうの株安に拍車をかけた」とみる。

また、21日の東京株式市場では、米中対立への懸念も強まった。

ホワイトハウスに近い関係者などは20日、米中通商協議の「第1段階」の合意が来年にずれ込む可能性があると明らかにした。 両国が対立姿勢を強めている香港情勢に関連しても、米上院に続き下院で「香港人権・民主主義法案」が可決されトランプ大統領が署名する見通し で、中国のさらなる反発が予想される。

市場では「株高の前提となっていた米中通商協議の進展期待が後退したことで一気に不安が広がった」(キャピタル・パートナーズ証券・チーフマーケットアナリストの倉持宏朗氏)とされ、海外勢などから売りが強まったとみられている。

一方、需給面は来週以降、改善するとの見方もある。「11月30日を挟む週は2000年から1度しか下げていないアノマリーがある。これは配当金の株式再投資と密接に関係がありそうだ」(岡地証券・投資情報室長の森裕恭氏)という。

今回の3月期企業の中間期配当金は、市場推定で約4兆3000億円。このうち少なからず株式に再投資されると想定されており、「これで需給面が改善されれば、下げも限定的になるのではないか」(木野内氏)との予想も出ている。

(編集・グラフ作成:田中志保)

水野文也

[東京 21日 ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2019トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます



20191126issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

11月26日号(11月19日発売)は「プラスチック・クライシス」特集。プラスチックごみは海に流出し、魚や海鳥を傷つけ、最後に人類自身と経済を蝕む。「冤罪説」を唱えるプラ業界、先進諸国のごみを拒否する東南アジア......。今すぐ私たちがすべきこととは。


今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

プーチン氏、凍結資産巡りEU批判 「主要産油国の外

ビジネス

金利を変更する理由ない、政策は当面安定推移=スペイ

ワールド

仏上下両院合同委、予算妥協案で合意できず 緊急立法

ワールド

プーチン氏、「ウクライナ和平条件変わらず」 年末会
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:教養としてのBL入門
特集:教養としてのBL入門
2025年12月23日号(12/16発売)

実写ドラマのヒットで高まるBL(ボーイズラブ)人気。長きにわたるその歴史と深い背景をひもとく

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開したAI生成のクリスマス広告に批判殺到
  • 2
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末路が発覚...プーチンは保護したのにこの仕打ち
  • 3
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 4
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦…
  • 5
    ゆっくりと傾いて、崩壊は一瞬...高さ35mの「自由の…
  • 6
    おこめ券、なぜここまで評判悪い? 「利益誘導」「ム…
  • 7
    中国の次世代ステルス無人機「CH-7」が初飛行。偵察…
  • 8
    身に覚えのない妊娠? 10代の少女、みるみる膨らむお…
  • 9
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 10
    9歳の娘が「一晩で別人に」...母娘が送った「地獄の…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 4
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の…
  • 5
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 6
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 7
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 8
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開した…
  • 9
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末…
  • 10
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 6
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 7
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 8
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 9
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 10
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中