最新記事

日本経済

フィンテック版Eコマースへ規制緩和 スマホで金利比較も=未来投資会議

2019年11月12日(火)19時08分

政府は12日、第33回未来投資会議を開催し、フィンテック分野の金融法制緩和やデジタルプラットフォーマーへの取引透明化について議論した。写真は都内で2015年1月撮影(2019年 ロイター/Issei Kato)

政府は12日、第33回未来投資会議を開催し、フィンテック分野の金融法制緩和やデジタルプラットフォーマーへの取引透明化について議論した。銀行から保険まで幅広い金融商品をモノのEコマースと同様にネット上で個人が金利や手数料を比較しながら選択できるように、仲介登録制度を簡素化することや、商品提供元の金融機関に賠償責任を課さない新たな仲介業を設ける方向で規制緩和することを検討する。

現状では、仲介業者は銀行、証券、保険の分野ごとに許可・登録が必要で、分野をまたいで商品を揃えにくい。実際に銀行、証券、損保、生保の全分野をカバーする仲介業者はたった4者しかいない。

また仲介業者は商品の提供元である金融機関から別々に販売方法など指導・監督を受ける必要があり、商品ラインアップを充実されるほど、仲介業者の負担が増えることになっていた。これを緩和するため、一度登録すれば銀行・証券・保険の全ての分野の商品を扱えるようにすること、金融機関に対する指導・監督義務や賠償責任を課さない新たな仲介業を設ける、といった規制緩和を検討する。

これまで議論してきた通り、100万円超の送金を銀行以外の事業者についても取り扱えるよう、規制緩和を議論。海外では銀行以外の事業者でも大口送金で利便性の高いサービスが登場している。

一方で数万円以下の少額送金について多くの利用者が利用しているため、供託義務を免除するなどして、低コストで利便性の高いサービスを提供すべきとの指摘も出た。

デジタルプラットフォーマーによる取引透明化法については、すでに次期通常国会に法案を提出することになっているが、その内容について議論が行われた。

対象を大規模オンラインモールやアプリストアとすること、また検索表示順位の主な要素開示、個別業者との取引条件の開示などを求めることなどを議論。

新たに、デジタル広告市場の競争状況についても、個人情報の取得・利用に対する懸念やデータ集中による寡占化への悪影響が心配されていることを踏まえて、広告市場への評価を開始する方向で議論した。

すでに欧米では、契約上競合企業の広告掲載を禁止したグーグルアドセンスに制裁金を課すEU競争当局の動きなどがある。

(中川泉)

[東京 12日 ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2019トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます



20191119issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

11月19日号(11月12日発売)は「世界を操る政策集団 シンクタンク大研究」特集。政治・経済を動かすブレーンか、「頭でっかちのお飾り」か。シンクタンクの機能と実力を徹底検証し、米主要シンクタンクの人脈・金脈を明かす。地域別・分野別のシンクタンク・ランキングも。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

核保有国の軍拡で世界は新たな脅威の時代に、国際平和

ワールド

米政権、スペースXとの契約見直し トランプ・マスク

ワールド

インド機墜落事故、米当局が現地調査 遺体身元確認作

ビジネス

日経平均は反発で寄り付く、円安で買い優勢 前週末の
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:非婚化する世界
特集:非婚化する世界
2025年6月17日号(6/10発売)

非婚化・少子化の波がアメリカもヨーロッパも襲う。世界の経済や社会福祉、医療はどうなる?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「タンパク質」より「食物繊維」がなぜ重要なのか?...「がん」「栄養」との関係性を管理栄養士が語る
  • 2
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高にかっこいい」とネット絶賛 どんなヘアスタイルに?
  • 3
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波でパニック...中国の輸出規制が直撃する「グローバル自動車産業」
  • 4
    サイコパスの顔ほど「魅力的に見える」?...騙されず…
  • 5
    林原めぐみのブログが「排外主義」と言われてしまう…
  • 6
    メーガン妃とキャサリン妃は「2人で泣き崩れていた」…
  • 7
    若者に大不評の「あの絵文字」...30代以上にはお馴染…
  • 8
    さらばグレタよ...ガザ支援船の活動家、ガザに辿り着…
  • 9
    ハルキウに「ドローン」「ミサイル」「爆弾」の一斉…
  • 10
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 1
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の瞬間...「信じられない行動」にネット驚愕
  • 2
    大阪万博は特に外国人の評判が最悪...「デジタル化未満」の残念ジャパンの見本市だ
  • 3
    「セレブのショーはもう終わり」...環境活動家グレタらが乗ったガザ支援船をイスラエルが拿捕
  • 4
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波で…
  • 5
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高に…
  • 6
    ファスティングをすると、なぜ空腹を感じなくなるの…
  • 7
    今こそ「古典的な」ディズニープリンセスに戻るべき…
  • 8
    アメリカは革命前夜の臨界状態、余剰になった高学歴…
  • 9
    右肩の痛みが告げた「ステージ4」からの生還...「生…
  • 10
    脳も体も若返る! 医師が教える「老後を元気に生きる…
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 3
    日本はもう「ゼロパンダ」でいいんじゃない? 和歌山、上野...中国返還のその先
  • 4
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊…
  • 5
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 6
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 7
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 8
    あなたも当てはまる? 顔に表れるサイコパス・ナルシ…
  • 9
    ドローン百機を一度に発射できる中国の世界初「ドロ…
  • 10
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中