米中通商交渉、「第1段階」合意は来年にずれ込む可能性
通商交渉に影落とす香港デモ
香港問題も、米中合意を複雑にしている。
中国の政府系シンクタンク、中国国際経済交流センター(CCIEE)の主席研究員、Zhang Yansheng氏は、21日に行われたブルームバーグ主催のフォーラムで、香港問題は明らかに米中通商協議にとってマイナスの要因だと指摘。その上で、第1段階の合意は「混乱が無ければ」、年内に実現する見通しだと述べたが、詳細には言及しなかった。
米上院は19日、中国が香港に高度の自治を保障する「一国二制度」を守っているかどうか米政府に毎年検証を求める「香港人権・民主主義法案」を全会一致で可決。中国は即座に反発している。
ホワイトン氏も「中国が指導する香港デモの暴力的な取り締まりが合意の可能性を低下させている」と指摘。「中国の警官隊が香港で(抗議デモに参加する)学生を抑圧する中で、中国の習近平国家主席はトランプ大統領と笑顔で合意文書に署名するために米国に招待されるだろうか」と述べた。
交渉を複雑化させている要因には、対中協議の姿勢を巡るホワイトハウス内の対立のほか、トランプ氏が直前に合意内容を拒否する可能性もあるという。
トランプ氏は19日、中国は「私自身が気に入る」ディール(取引)を行う必要があるとし、「われわれが中国とディールを行えなければ、単に関税を一段と引き上げるだけだ」と述べた。
中国共産党機関紙・人民日報傘下の有力国際情報紙、環球時報の胡錫進編集長は20日のツイッターへの投稿で、「米中が近く合意できると考えている中国人はほとんどいない」とし、「中国は合意を望んでいるが、貿易戦争の長期化という最悪のシナリオに備えている」と述べた。
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