最新記事

ビジネス

香港の富裕層、コッソリ海外に資産移動 逃亡犯条例を懸念?

2019年6月17日(月)13時09分

銀行家や法律専門家によると、香港の富裕な実業家が中国本土への容疑者引き渡しを可能にする「逃亡犯条例」改正案への懸念を強め、個人資産を海外に移す動きが始まっている。写真は香港で13日撮影(2019年 ロイター/Jorge Silva)

銀行家や法律専門家によると、香港の富裕な実業家が中国本土への容疑者引き渡しを可能にする「逃亡犯条例」改正案への懸念を強め、個人資産を海外に移す動きが始まっている。

こうした動きに関与した助言サービス関係者によると、ある大物実業家は法改正で政治的リスクが自らに及び得ると考え、1億ドル余りを香港のシティバンクの口座からシンガポールのシティバンクの口座に移し始めた。同様の例をほかにも耳にしているが、いずれも目立たないように行われているという。

逃亡犯条例は、香港市民だけでなく香港に居住したり旅行で通過したりする外国人や中国籍の人間を対象にしており、香港の金融センターの地位を支える法の支配を脅かしかねないとの懸念が異例な広がりを見せている。条例が成立すれば、中国本土の裁判所が香港の裁判所に要請して、中国本土での「犯罪」に関連したと見なす資産を凍結したり押収したりできるようになる。

国際展開している香港の銀行のプライベートバンキング部門トップも、顧客が資金を香港からシンガポールに移していると指摘。「彼らは中国本土の顧客ではなく、香港の富裕な顧客だ。香港の情勢は混乱している」と述べた。「香港の富裕層は、林鄭月娥行政長官や中国の指導部が逃亡犯条例による経済的損失を理解できないほど愚かなことを見過ごせないのだ」

香港とシンガポールはアジア随一の金融センターとしての地位を巡って激しく争っている。クレディ・スイスの2018年のリポートによると、香港は個人資産1億ドル以上の資産家が853人と、シンガポールの2倍以上だった。

Greg Torode

[香港 ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2019トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

ニューズウィーク日本版 トランプの帝国
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2026年2月10号(2月3日発売)は「トランプの帝国」特集。南北アメリカの完全支配を狙う新戦略は中国の覇権を許し、世界の経済勢力図を完全に塗り替える

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

インド、エネ供給源多様化推進へ 対米通商合意受け商

ワールド

韓国国民年金初のドル建て債、年内発行に期待=保健福

ビジネス

MUFGの10-12月期、純利益6%増 金利上昇で

ワールド

台湾の追加防衛支出案、通過しなければ国際社会に誤解
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプの帝国
特集:トランプの帝国
2026年2月10日号(2/ 3発売)

南北アメリカの完全支配を狙うトランプの戦略は中国を利し、世界の経済勢力図を完全に塗り替える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 2
    致死率は最大75%のニパウイルスが、世界規模で感染拡大する可能性は? 感染症の専門家の見解
  • 3
    高市首相の発言は正しかった...「対中圧力」と「揺れるアメリカ」に向き合う「日本の戦略」とは?
  • 4
    「出禁」も覚悟? ディズニーランドで緊急停止した乗…
  • 5
    トランプ不信から中国に接近した欧州外交の誤算
  • 6
    地球の近くで「第2の地球」が発見されたかも! その…
  • 7
    最長45日も潜伏か...世界が警戒する「ニパウイルス」…
  • 8
    ロシア軍の前線で「弾よけ」にされるアフリカ人...兵…
  • 9
    アジアから消えるアメリカ...中国の威圧に沈黙し、同…
  • 10
    ICE射殺事件で見えたトランプ政権の「ほころび」――ア…
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 3
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界でも過去最大規模
  • 4
    180万トンの「リチウムごみ」を資源に...EV電池の「…
  • 5
    日本への威圧を強める中国...「レアアース依存」から…
  • 6
    ロシア軍の前線で「弾よけ」にされるアフリカ人...兵…
  • 7
    町長を「バズーカで攻撃」フィリピンで暗殺未遂、大…
  • 8
    「出禁」も覚悟? ディズニーランドで緊急停止した乗…
  • 9
    秋田県は生徒の学力が全国トップクラスなのに、1キロ…
  • 10
    致死率は最大75%のニパウイルスが、世界規模で感染…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 3
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した──台湾高官が分析
  • 4
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 5
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 6
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 7
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 8
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 9
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
  • 10
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中