最新記事

メディア

制作に200億投資、爆走アベマTVは「稼げるメディア」に化けるか

2017年11月18日(土)17時20分
長瀧菜摘(東洋経済記者)※東洋経済オンラインより転載

元SMAPの稲垣吾郎さん、草彅剛さん、香取慎吾さんが出演した「72時間ホンネテレビ」はネット上で大きな話題となった (C)AbemaTV

「稲垣・草彅・香取 3人でインターネットはじめます」──。元SMAPメンバーが再出発の場に選んだのは、地上波ではなく、ネットテレビ局「Abema(アベマ)TV」だった。11月2〜5日に放送された「72時間ホンネテレビ」は、企画の発表時点から大きな関心を呼んだ。

ホンネテレビの放送72時間の総視聴数は7200万超に上り、アベマTVとしての過去最高を更新。ネットの生放送番組としても異例の実績となり、ツイッターやインスタグラムなどのSNSでも話題が大きく拡散された。

toyokeizai171118-2.jpg

アベマTVは、サイバーエージェント・藤田晋社長"肝いり"の事業だ(撮影:今井康一)

大物タレントは藤田社長自ら交渉

アベマTVはネット広告大手のサイバーエージェントとテレビ朝日による合弁事業。スマートフォンやパソコンから、バラエティやニュース、スポーツなど約25チャンネルの番組を24時間無料で視聴できる。2016年4月に放送を開始し、スマホアプリのダウンロード数はすでに2200万を突破。週間利用者数も500万近くにまで成長した。

サイバーエージェントの藤田晋社長は、「72時間ホンネテレビでアベマTVの過去最高(視聴数)を更新するのはまず間違いない」と、10月下旬の決算説明会で自信満々に語っていた。今回の元SMAPメンバーを含め、影響力のあるタレントは藤田社長が自らキャスティングに動いているという。

ネットの動画視聴サービスは国内外で多くの企業が競り合うが、ほとんどが月額課金の有料モデル。そんな中、アベマTVは基本無料で差別化し、普段テレビを見ない10〜20代の若年層まで取り込んできた。

この勢いを加速させようと、サイバーエージェントは巨額投資を続けている。2018年9月期は前期に引き続き、アベマTVに200億円規模の資金を投じる。

重点的にカネをかけるのが番組の自社制作だ。これまでも、年末年始や開局1周年時の自社制作特番で利用者数を急伸させてきた。通常放送でも、将棋や麻雀、スポーツの専門チャンネルは「自社制作を入れるほど数字(視聴数)が上がる」(藤田社長)。年明けからは独自の連続ドラマも始め、少数派の女性視聴者を増やしたい考えだ。

toyokeizai171118-3.png

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ロシアで米国人2人が拘束、1人は窃盗容疑の米軍兵士

ビジネス

米オンライン掲示板レディット、第2四半期は黒字計上

ビジネス

引き続き為替動向を注視、万全な対応取る=鈴木財務相

ビジネス

米金融機関ボーナス、今年は大幅増へ=リポート
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:岸田のホンネ
特集:岸田のホンネ
2024年5月14日号(5/ 8発売)

金正恩会談、台湾有事、円安・インフレの出口......岸田首相がニューズウィーク単独取材で語った「次の日本」

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地ジャンプスーツ」が話題に

  • 2

    「自然は残酷だ...」動物園でクマがカモの親子を捕食...止めようと叫ぶ子どもたち

  • 3

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国の研究チームが開発した「第3のダイヤモンド合成法」の意義とは?

  • 4

    「真の脅威」は中国の大きすぎる「その野心」

  • 5

    デモを強制排除した米名門コロンビア大学の無分別...…

  • 6

    いま買うべきは日本株か、アメリカ株か? 4つの「グ…

  • 7

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 8

    外国人労働者がいないと経済が回らないのだが......…

  • 9

    中国軍機がオーストラリア軍ヘリを妨害 豪国防相「…

  • 10

    翼が生えた「天使」のような形に、トゲだらけの体表.…

  • 1

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受ける瞬間の映像...クラスター弾炸裂で「逃げ場なし」の恐怖

  • 2

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国の研究チームが開発した「第3のダイヤモンド合成法」の意義とは?

  • 3

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロシア空軍基地の被害規模

  • 4

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミ…

  • 5

    屋外に集合したロシア兵たちを「狙い撃ち」...HIMARS…

  • 6

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

  • 7

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 8

    ロシアの大規模ウクライナ空爆にNATO軍戦闘機が一斉…

  • 9

    ロシア軍の拠点に、ウクライナ軍FPVドローンが突入..…

  • 10

    外国人労働者がいないと経済が回らないのだが......…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 6

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 7

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体…

  • 10

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中