最新記事

日本銀行

「黒田バズーカ」は三度効く? ドル115円なら思惑台頭

2016年1月21日(木)09時25分

 ひとつはドル側の理由だ。ドル高/円安予想を支えているのは、米国の利上げが継続され、日米金利差が開くとの見方だった。だが、世界経済の減速懸念が強まる中で、12月米小売売上高などがさえず「市場の唯一の心の支え」(バークレイズ銀行の為替ストラテジスト、門田真一郎氏)であった堅調な米経済見通しが揺らいでいる。

 さらに足元のリスクオフは中国や中東(原油安)が起点となっている。「日本の努力でどうにもならない部分がある」(19日の会見での甘利明経済再生相)と言えよう。

 上田ハーローの外貨保証金事業部次長、森宗一郎氏は、日銀が単独で動くことについて「外海の荒波をそのままに、琵琶湖の波だけを治めるようとするもの」と指摘する。仮に日本、欧州、米国が協調して臨んだとしても、中国と原油が発端のリスクオフを食い止められるかは読み切れないという。

 13年4月4日に決定され、「バズーカ」と呼ばれたQQE第1弾は、ドル/円を93円から103円まで約1カ月半で約10円押し上げた。14年10月31日の第2弾の時も、109円から121円まで約1カ月で約12円上昇した。

 しかし、今回、「逆風」が吹き荒れるなかで、ドル/円を115円付近から125円まで押し上げるのは容易ではない。

手詰まり感台頭なら円高も

 さらに警戒されるのは、追加緩和を行ったことで「打ち止め感」が強まる場合だ。

 追加緩和のメニューとして、市場が予想しているのは、国債買い入れ額増額、国債買い入れ平均残存年限延長、ETF(指数連動型上場投資信託)やJ─REITの買い入れ増額、など。

 しかし、国債保有の年間増加ペース80兆円を仮に100兆円に増額すれば、償還分の乗り換えも含めると140兆円の買い入れが必要になる。来年度のカレンダーベースの国債発行額(短期国債除く)は122兆円程度の予定であり、大幅に上回る。銀行など金融機関が国債を売却しなければ、達成は容易ではない。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

EUのロシア産原油輸入停止法制化案、ハンガリー議会

ワールド

トランプ氏、一般教書演説で「強く繁栄する米国」強調

ワールド

米政府、インドなどアジア3カ国の太陽光製品に暫定的

ワールド

国連総会、ウクライナ支持決議を採択 米は「交渉の妨
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:日本人が知らない AI金融の最前線
特集:日本人が知らない AI金融の最前線
2026年3月 3日号(2/25発売)

フィンテックの進化と普及で、金融はもっと高速に、もっとカジュアルに

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医師がすすめる意外な健康習慣
  • 2
    米国の中国依存が低下、台湾からの輸入が上回る
  • 3
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く高齢期の「4つの覚悟」
  • 4
    3頭のクマがスキー客を猛追...ゲレンデで撮影された…
  • 5
    「水道水」が筋トレの成果を左右する...私たちの体に…
  • 6
    カビが植物に感染するメカニズムに新発見、硬い表面…
  • 7
    「極めて危険」──ゼレンスキー、ロシアにおける北朝…
  • 8
    IMF、日本政府に消費減税を避けるよう要請...「財政…
  • 9
    「IKEAも動いた...」ネグレクトされた子猿パンチと「…
  • 10
    武士はロマンで戦ったわけではない...命を懸けた「損…
  • 1
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より日本の「100%就職率」を選ぶ若者たち
  • 2
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医師がすすめる意外な健康習慣
  • 3
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く高齢期の「4つの覚悟」
  • 4
    「水道水」が筋トレの成果を左右する...私たちの体に…
  • 5
    「#ジェームズ・ボンドを忘れろ」――MI6初の女性長官…
  • 6
    カビが植物に感染するメカニズムに新発見、硬い表面…
  • 7
    海外(特に日本)移住したい中国人が増えている理由.…
  • 8
    100万人が死傷、街には戦場帰りの元囚人兵...出口な…
  • 9
    ロシアに蔓延する「戦争疲れ」がプーチンの立場を揺…
  • 10
    米国の中国依存が低下、台湾からの輸入が上回る
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 3
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 4
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 5
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 6
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 7
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 8
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 9
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 10
    「罠に嵌められた」と主張するが...欧州で次々と摘発…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中