最新記事

中国経済

外国人投資家、企業破たん増加で中国の矛盾した司法制度に直面も

景気減速で明らかになりつつある中国ビジネスのリスク

2015年5月18日(月)19時46分

A construction site by Chinese property developer Kaisa Group is seen at an area of downtown Shanghai, February 17, 2015. REUTERS

[香港 18日 ロイター] - 経済の減速に伴い、中国政府は企業の破たんを黙認する傾向にあり、海外の債券投資家が同国の予測不能な司法制度に巻き込まれるリスクも高まっている。

中国のソーラーパネルメーカー、保定天威保変電気<600550.SS> は先月、期限までに社債の金利支払いが行えず、国有企業関連では初のデフォルト(債務不履行)となった。政府が企業改革を進めるために破たんを認める姿勢がより鮮明になった。

同じく4月、不動産大手の佳兆業集団(カイサ・グループ)<1638.HK>がドル建て債の金利を支払えず、国内不動産企業で初めてデフォルトに陥った。インターネット企業の中科雲網科技集団(クラウド・ライブ・テクノロジー・グループ)<002306.SZ>も約4000万ドルを債券保有者に支払うことができなかった。

中国の破産法では国内外の債権者の立場は同等だが、実際に中国企業の破たんを経験した弁護士や投資家は、破産手続きに地方政府が介入するのが普通で、海外の債権者を優先することはまずない、と話す。

香港の法律事務所クリフォード・チャンスの破産・リストラ担当グローバルヘッド、マーク・ハイド氏は「裁判所が幅広い裁量を行使する権限をもち、実際に行使している。裁量がいかに適用されるかは必ずしも明確でない」と指摘する。

さらに裁判所は破産申請を受理するか否かの裁量も与えられており、地元政府と緊密に連携を図ることになっている。政府は一般に、債権者よりも雇用や地方税の徴収、社会の安定に関心が高い。

昨年社債の利払いが不履行となり、中国の債券市場で初のデフォルト案件となった太陽光発電関連メーカー、チャオリ・ソーラー・エナジー・アンド・テクノロジー(上海超日太陽能科技)や、転換社債がデフォルトに陥ったサンテック・パワー・ホールディングス(尚徳太陽能電力)の外国人投資家らは、厄介者のような扱いを受けたと感想を述べる。

サンテックの債権者は微妙な問題なので匿名を条件に「サンテックのケースでは、4カ月間会社から音沙汰がなかった。かなりの圧力をかけて初めて、解決策を出し始めた。債権者は厄介者のようにみなされた」と語っている。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

鉱工業生産速報3月は前月比3.8%増、自動車回復で

ビジネス

失業率3月は2.6%で横ばい、有効求人倍率1.28

ワールド

ガザ停戦・人質解放案に期待、最終的な回答待ち=エジ

ビジネス

日経平均は続伸で寄り付く、米株高の流れ引き継ぐ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドローンを「空対空ミサイルで撃墜」の瞬間映像が拡散

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる4択クイズ

  • 4

    AIパイロットvs人間パイロット...F-16戦闘機で行われ…

  • 5

    メーガン妃の「限定いちごジャム」を贈られた「問題…

  • 6

    日本マンガ、なぜか北米で爆売れ中...背景に「コロナ…

  • 7

    「瞬時に痛みが走った...」ヨガ中に猛毒ヘビに襲われ…

  • 8

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 9

    19世紀イタリア、全世界を巻き込んだ論争『エドガル…

  • 10

    ナワリヌイ暗殺は「プーチンの命令ではなかった」米…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドローンを「空対空ミサイルで撃墜」の瞬間映像が拡散

  • 4

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 5

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 6

    AIパイロットvs人間パイロット...F-16戦闘機で行われ…

  • 7

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 8

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 9

    日本マンガ、なぜか北米で爆売れ中...背景に「コロナ…

  • 10

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の瞬間映像をウクライナ軍が公開...ドネツク州で激戦続く

  • 4

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 5

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 6

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 7

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 8

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 9

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 10

    「誰かが嘘をついている」――米メディアは大谷翔平の…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中