最新記事

感染症

エボラ治療薬の開発はカナダにお任せ

エボラなど危険度が最も高い病原体を取り扱える施設がないことへの懸念から生まれた研究所が原動力

2014年10月28日(火)16時52分
キャスリーン・コールダーウッド

期待の新薬 エボラ出血熱の流行を止められるか Axel Schmidt-Reuters

 西アフリカで猛威を振るうエボラ出血熱の死者数は4500人を超し、アメリカでは先週2人目の2次感染者が確認された。治療薬として期待を集めているのが、治験薬「TKMエボラ」と未承認薬「ZMapp」だ。

 どちらも研究・開発が行われたのはカナダ。なぜカナダがエボラ治療薬開発の最先端なのか。ある専門家によれば、答えは「ハインツ・フェルドマン」だ。

 ウイルス学者のフェルドマンは、カナダ国立微生物学研究所(NML)の初代特別病原体担当責任者に就任した人物。99年に開設されたNMLはその後、カナダ公衆衛生庁の一部門に。フェルドマンはアメリカの研究機関へ移ったが、NMLは今も革新的な研究を続けている。

 NMLの設立構想が生まれたのは80年代だ。エボラなど危険度が最も高い病原体を取り扱える施設が、カナダにないことへの懸念がきっかけだった。カナダ当局は当時、病原体検査を米疾病対策センター(CDC)に依頼していた。その協力関係はNMLの誕生後も続いている。

「競争せずに共闘すれば、成し遂げられることはずっと大きい」と、現在NMLの特別病原体担当責任者を務めるゲーリー・コビンジャーは言う。その言葉どおり、彼は米製薬会社と共同でZMappを開発した。

 一方、TKMエボラを開発したのはバンクーバーの製薬会社テクミラ・ファーマシューティカルズだ。米国防総省の資金援助を受けてエボラ研究を続けてきた同社の株価は、今回の流行を背景に急上昇している。

[2014年10月28日号掲載]

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

シャンパンボトルの花火が原因か、40人死亡のスイス

ワールド

ベネズエラ大統領、米と関係改善意向 麻薬協議・投資

ビジネス

テスラ、25年販売9%減で首位転落 中国BYDが世

ワールド

ウクライナ、大統領府長官にブダノフ国防省情報総局長
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチン、その先は袋小路か
  • 2
    中国軍の挑発に口を閉ざす韓国軍の危うい実態 「沈黙」は抑止かそれとも無能?
  • 3
    マイナ保険証があれば「おくすり手帳は要らない」と考える人が知らない事実
  • 4
    感じのいい人が「寒いですね」にチョイ足ししている…
  • 5
    【現地発レポート】米株市場は「個人投資家の黄金時…
  • 6
    なぜ筋肉を鍛えても速くならないのか?...スピードの…
  • 7
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「…
  • 8
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 9
    日本人の「休むと迷惑」という罪悪感は、義務教育が…
  • 10
    「断食」が細胞を救う...ファスティングの最大効果と…
  • 1
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 2
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめる「腸を守る」3つの習慣とは?
  • 3
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチン、その先は袋小路か
  • 4
    中国軍の挑発に口を閉ざす韓国軍の危うい実態 「沈黙…
  • 5
    マイナ保険証があれば「おくすり手帳は要らない」と…
  • 6
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 7
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 8
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」と…
  • 9
    なぜ筋肉を鍛えても速くならないのか?...スピードの…
  • 10
    【世界を変える「透視」技術】数学の天才が開発...癌…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切…
  • 6
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 7
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 8
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 9
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 10
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中