最新記事

アメリカ経済

アメリカ株の急落は世界不況の前触れか

FRBが楽観的な景況判断を発表したが、利上げへの警戒感もあり市場は続落

2014年10月16日(木)13時34分
ジェシカ・メントン

警戒信号? 乱高下を演じた米株式市場 Lucas Jackson-Reuters

 15日も米株式市場は大荒れとなり、ダウ工業株30種平均が急落。FRB(米連邦準備銀行)が個人消費は「わずか、ないしは緩やかな」ペースで伸びており、米経済は着実に成長を続けていると発表したが、市場の不安を払拭するには至らなかった。

 世界経済の減速懸念が広がったことから、ダウ平均は一時前日比450ドル以上下落した。FRBが全米12の地区連銀がまとめた詳細な経済報告「ベージュブック」を発表したのはその後だ。

 市場の不安を測る最も正確な指数とされるボラティリティー指数(VIX)、別名「恐怖指数」は、取引開始直後は26弱だったが、その後30に跳ね上がった。ちなみに、今夏VIXは10〜15で推移していた。

「今日の市場の動きは、これから起きることの前触れだろう」と、DMEセキュリティーズのトレーディング担当副社長アラン・バルデスは取引終了後に語った。

 FRBの発表を受けてダウの下げ幅は縮小したが、終値は173・45ドル(1.06%)安の1万6141ドル74セントで5日続落。スタンダード&プアーズ(S&P)500社株価指数は15.21ポイント(0.81%)下げて1862.49、ナスダック(米店頭市場)総合指数は11.85(0.28%)下落し4215.31に落ち着いた。

 世界経済の冷え込みに対する不安以外にも、投資家を弱気にさせている要因がもう1つある。FRBが5年間続けてきた量的緩和(QE)の段階的縮小を進めており、早ければ来春にも利上げを始める可能性もあると言っていたことだ。

「多くの専門家が今が底値で買いどきだと言っているが、私はそうは思わない」と、バルデスは言う。「市場の混乱が収まるまで買いを控えるほうが無難だろう」

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米ロ首脳、ハンガリーで会談へ トランプ氏「2週間以

ワールド

G20財務相会議が閉幕、議長総括で戦争や貿易摩擦巡

ビジネス

経済・物価見通しの確度上がれば、それに応じ政策調整

ワールド

米ロ外相が近日中に協議へ、首脳会談の準備で=ロシア
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:日本人と参政党
特集:日本人と参政党
2025年10月21日号(10/15発売)

怒れる日本が生んだ「日本人ファースト」と参政党現象。その源泉にルポと神谷代表インタビューで迫る

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本で外国人から生まれた子どもが過去最多に──人口減少を補うか
  • 2
    まるで『トップガン』...わずか10mの至近戦、東シナ海で「中国J-16」 vs 「ステルス機」
  • 3
    間取り図に「謎の空間」...封印されたスペースの正体は?
  • 4
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 5
    【クイズ】サッカー男子日本代表...FIFAランキングの…
  • 6
    フィリピンで相次ぐ大地震...日本ではあまり報道され…
  • 7
    イーロン・マスク、新構想「Macrohard」でマイクロソ…
  • 8
    疲れたとき「心身ともにゆっくり休む」は逆効果?...…
  • 9
    ホワイトカラーの62%が「ブルーカラーに転職」を検討…
  • 10
    「欧州最大の企業」がデンマークで生まれたワケ...奇…
  • 1
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな飼い主との「イケイケなダンス」姿に涙と感動の声
  • 2
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以外の「2つの隠れた要因」が代謝を狂わせていた
  • 3
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 4
    中国人が便利な「調理済み食品」を嫌うトホホな理由…
  • 5
    まるで『トップガン』...わずか10mの至近戦、東シナ…
  • 6
    【クイズ】日本人が唯一「受賞していない」ノーベル…
  • 7
    ベゾス妻 vs C・ロナウド婚約者、バチバチ「指輪対決…
  • 8
    フィリピンで相次ぐ大地震...日本ではあまり報道され…
  • 9
    時代に逆行するトランプのエネルギー政策が、アメリ…
  • 10
    「中国のビットコイン女王」が英国で有罪...押収され…
  • 1
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 2
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ監督が明かすプレーオフ戦略、監督の意外な「日本的な一面」とは?
  • 3
    カミラ王妃のキャサリン妃への「いら立ち」が話題に...「少々、お控えくださって?」
  • 4
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 5
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 6
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最…
  • 7
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外…
  • 8
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 9
    【クイズ】日本人が唯一「受賞していない」ノーベル…
  • 10
    数千円で買った中古PCが「宝箱」だった...起動して分…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中