最新記事

中国経済

株価急落でも「中国は大丈夫」な理由

ついに世界の株式市場に波及した信用不安を中国当局は押さえ込めるか

2013年6月25日(火)17時02分
ベンジャミン・カールソン

次の震源地? 中国の信用不安を、アメリカのサブプライム危機になぞらえる声は多い Petar Kujundzic-Reuters

 中国リスクが世界に広がっている。中国株式市場は今月24日に急落。上海総合指数は前営業日終値比で約5.3%、深セン成分指数は6.73%の下落で取引を終えた。

 影響は世界に広がった。中国景気が減速するという悲観的な見方が広まり、ニューヨーク株式市場でもダウ工業株30種平均が一時240ドル以上下落。一時5カ月半ぶりの安値を付けたロンドン市場など、ヨーロッパにも不安の波が押し寄せた。

 中国株式市場で、これほど大幅な下落が記録されるのは約4年ぶりのこと。その原因となったのは、収まる気配を見せない中国の信用不安だ。現在、中国の銀行セクターは供給資金の不足に悩まされており、短期の銀行間取引金利は上昇を続けている。

 それにもかかわらず中央銀行である中国人民銀行は、現在まで資金供給などの対策を取る姿勢を見せていない。政府も、市中銀行がこれまで低金利で集めた資金でリスクの高い融資を行ってきたことを問題視し、金融引き締めを継続すると見られる。

 それでも「最終的に政府には資金がある。それに彼らはすでに事態を十分に認識しているため、深刻な問題に発展するとは考えていない」と、香港大学のチーカン・タオは言う。

 現在の中国の問題を、アメリカのサブプライム危機になぞらえる投資家は多い。だが、著名なポートフォリオ・マネージャーであるマーク・モビアスは、共産党支配下の市場経済という中国独特の経済形態のおかげで、リーマン・ショック的な惨事は避けられると考えている。

「中国のシナリオはまったく別物になるだろう。なぜなら銀行は政府の管理下にあるため、破たんすることも許されない」

 モビアスは、資産運用会社フランクリン・テンプルトン・インベストメンツの新興市場投資家として530億ドルを運用している。そして今でも、どの新興国よりも多く投資している先は中国だという。

From GlobalPost.com特約

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米肥満薬開発メッツェラ、ファイザーの100億ドル買

ワールド

米最高裁、「フードスタンプ」全額支給命令を一時差し

ワールド

アングル:国連気候会議30年、地球温暖化対策は道半

ワールド

ポートランド州兵派遣は違法、米連邦地裁が判断 政権
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:高市早苗研究
特集:高市早苗研究
2025年11月 4日/2025年11月11日号(10/28発売)

課題だらけの日本の政治・経済・外交を初の女性首相はこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 2
    「座席に体が収まらない...」飛行機で嘆く「身長216cmの男性」、前の席の女性が取った「まさかの行動」に称賛の声
  • 3
    『プレデター: バッドランド』は良作?駄作?...批評家たちのレビューは「一方に傾いている」
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    筋肉を鍛えるのは「食事法」ではなく「規則」だった.…
  • 6
    「路上でセクハラ」...メキシコ・シェインバウム大統…
  • 7
    クマと遭遇したら何をすべきか――北海道80年の記録が…
  • 8
    【銘柄】元・東芝のキオクシアHD...生成AIで急上昇し…
  • 9
    なぜユダヤ系住民の約半数まで、マムダニ氏を支持し…
  • 10
    「非人間的な人形」...数十回の整形手術を公表し、「…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎の存在」がSNSで話題に、その正体とは?
  • 3
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 4
    9歳女児が行方不明...失踪直前、防犯カメラに映った…
  • 5
    「日本のあの観光地」が世界2位...エクスペディア「…
  • 6
    「遺体は原型をとどめていなかった」 韓国に憧れた2…
  • 7
    虹に「極限まで近づく」とどう見える?...小型機パイ…
  • 8
    「路上でセクハラ」...メキシコ・シェインバウム大統…
  • 9
    「座席に体が収まらない...」飛行機で嘆く「身長216c…
  • 10
    米沿岸に頻出する「海中UFO」──物理法則で説明がつか…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 6
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 7
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 8
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 9
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 10
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中