最新記事

アジア

韓国で差別全開、ホリスターのイケメン軍団

中指を突き出し、「細い目」をバカにする――ソウル初上陸の米カジュアルブランドの店員たちが起こした人種差別騒動

2012年9月12日(水)17時25分
エイミー・シルバースタイン

白人至上主義? アバクロやホリスターの新店舗オープニングでおなじみのモデル軍団(写真はロンドン) YouTube

 米人気カジュアルストア、ホリスターが韓国に初上陸した。アバクロンビー&フィッチ(アバクロ)の姉妹ブランドで、名物は店舗入り口付近で客を出迎えてくれるマッチョなイケメンのモデルたちだ。

 ソウル店オープンにあたってもそうしたモデルが派遣された。しかし経営陣は、異文化圏の客とどう接するべきかを教育し忘れたようだ。不慣れな環境に混乱したのだろう、モデルたちは人種差別的な言動で一大騒動を引き起こしてしまった。

 現場を目撃した人によれば、あるモデルは店のオープニングイベントの写真撮影で客に向かって中指を立ててみせた。別のモデルは朝鮮王朝の王宮である景福宮の前で、「細い目」の顔を作ってポーズを取る自らの写真を画像共有サービス「インスタグラム」に匿名で投稿した。

 さらにあるモデルは、新店舗で撮った写真をツイッターに投稿。フォロワーが「ものすごい数のアジア人があの写真を気に入ったみたい......すごいな」とつぶやくと、当のモデルはアジア人の英語の発音をからかうように、「ハハハ、ゼイ・ラーブ・イーット(they ruhhvvvv ittt!)」と返した。

 これらがニュースサイトなどで取り上げられて騒動になると、ホリスターは次のような声明を発表した。「われわれの基本理念や、多様性と共生を重視する文化を大切にしている全世界8万人の同僚に代わり、彼らの独断的で無分別な行為が引き起こした無礼を心からお詫びします」

 親会社であるアバクロへの風当たりも強まるだろう。同社はずいぶん前から、接客する店員に白人ばかりを採用するといった人種差別的態度で非難を受けている。アジア系やヒスパニック系の従業員から集団訴訟を起こされたこともある。

 ホリスター問題は韓国の地元紙でも取り上げられ、市民による不買運動も起きているという。華々しいオープンとなるはずが、大きなケチがついてしまった。

GlobalPost.com特約

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

焦点:闇に隠れるパイロットの精神疾患、操縦免許剥奪

ビジネス

ソフトバンクG、米デジタルインフラ投資企業「デジタ

ビジネス

ネットフリックスのワーナー買収、ハリウッドの労組が

ワールド

米、B型肝炎ワクチンの出生時接種推奨を撤回 ケネデ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:日本時代劇の挑戦
特集:日本時代劇の挑戦
2025年12月 9日号(12/ 2発売)

『七人の侍』『座頭市』『SHOGUN』......世界が愛した名作とメイド・イン・ジャパンの新時代劇『イクサガミ』の大志

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 2
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺るがす「ブラックウィドウ」とは?
  • 3
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」が追いつかなくなっている状態とは?
  • 4
    【クイズ】アルコール依存症の人の割合が「最も高い…
  • 5
    『羅生門』『七人の侍』『用心棒』――黒澤明はどれだ…
  • 6
    左手にゴルフクラブを握ったまま、茂みに向かって...…
  • 7
    「ボタン閉めろ...」元モデルの「密着レギンス×前開…
  • 8
    三船敏郎から岡田准一へ――「デスゲーム」にまで宿る…
  • 9
    仕事が捗る「充電の選び方」──Anker Primeの充電器、…
  • 10
    主食は「放射能」...チェルノブイリ原発事故現場の立…
  • 1
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 2
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺るがす「ブラックウィドウ」とは?
  • 3
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」が追いつかなくなっている状態とは?
  • 4
    100年以上宇宙最大の謎だった「ダークマター」の正体…
  • 5
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%…
  • 6
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙す…
  • 7
    イスラエル軍幹部が人生を賭けた内部告発...沈黙させ…
  • 8
    【クイズ】アルコール依存症の人の割合が「最も高い…
  • 9
    【銘柄】関電工、きんでんが上昇トレンド一直線...業…
  • 10
    人生の忙しさの9割はムダ...ひろゆきが語る「休む勇…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 4
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 9
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 10
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中