最新記事

メディア

ハリー・ポッターが待望の電子書籍に

原作者がファンサイト「ポッターモア」を開設して電子書籍販売に未発表原稿の公開まで

2011年6月24日(金)15時58分

ユーザー参加型 新サイトでファンに夢の世界を提供すると語ったローリング Suzanne Plunkett-Reuters

『ハリー・ポッター』シリーズの作者J・K・ローリングは23日、ハリポタファンのための新サイト「Pottermore(ポッターモア)」を7月末に開設すると発表した。同サイトを通じてシリーズ7作品の電子書籍を10月から販売し、ファン参加型のサービスも提供する。

 ハリポタシリーズの電子書籍の出版権を自ら所有しているローリングは、アマゾンの「キンドル」やバーンズ&ノーブルの「ヌック」、アップルの「iBook」などの電子書籍ストアを通じてではなく、読者への直販方式を選んだと、CNNは伝えている。一方で、その出版形式はiPadなどすべての電子書籍端末に対応可能なオープンソース型にするという。
 
 ローリングはYouTubeでポッターモアについてこう語った。「ハリー・ポッターを応援し続けてくれたファンたちに何か恩返しがしたかったし、この物語をデジタル世代にも届けたかった。長年のファンも、今回ハリー・ポッターを初めて読む人にも、楽しみながらポッターモアを充実させていってほしい」

デジタル出版権の莫大な価値

 ワイアード誌によれば、ローリングがハリポタシリーズの電子版の出版権を売却した場合、その価値は1億6000万ドル相当にも上る。だが「出版権を手放さず、自身が運営するサイトで販売することで、ローリングは出版権の売却とは比べ物にならないほどの利益を得るだろう」。ハリポタシリーズを出版する英ブルームズベリー社と米スカラスティック・ブックス社は、電子版の出版権を所有していない。

 ワイアード誌はこう書いている。


 ローリングのやり方がさらに大胆な点は、コンテンツの複製や複数の端末での利用を可能にするDRMフリーでの販売を選択したことだ。その代わりに彼女は、電子書籍の購入者を特定できる電子透かし技術を採用しようとしている。電子透かし技術は不正コピーの行為を防ぐことはできないが、その行為者を追跡して特定できる。DRMフリーだが購入したコンテンツごとにユーザー情報が埋め込まれているiTunesと同じような仕組みになる。


 ローリングはポッターモアをユーザー参加型のインタラクティブなサイトにしていく計画だ。ハリポタシリーズに登場する人物や場所にまつわる情報、さらには未発表の原稿も公開。オンラインで小説の舞台を旅したりゲームができたるなど体験型コンテンツも充実させ、ファンがハリポタの世界にどっぷり浸かれるようなサイトを目指すという。

「ファンからは今でも大量の手紙や自作の絵などが送られてくる」と、ローリングは言う。「ポッターモアは、私が本を書き始めたときには存在しなかった媒体。この新しい媒体でハリー・ポッターが生き続けることになる」
 
「ポッターモアを使えば、ファンたちはどこにいても同じ体験を共有できる。幸運にも、私にはこの構想を実現できる環境があり、実現に向けて十分な時間をかけることができた。すべての作家が同じことをできるわけではないが、ハリー・ポッターについてはこれが進むべき道だった。ファンたちと直接交流できることが、たまらなくうれしい」


GlobalPost.com特約

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米新規失業保険申請件数は1000件減、小幅減も雇用

ワールド

カナダ中銀総裁「予測外れるリスク高まる」、米政策の

ビジネス

米労働生産性、第3四半期速報値は4.9%上昇 2年

ビジネス

トランプ氏「今すぐ大幅利下げを」、金利据え置きでF
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:高市 vs 中国
特集:高市 vs 中国
2026年2月 3日号(1/27発売)

台湾発言に手を緩めない習近平と静観のトランプ。激動の東アジアを生き抜く日本の戦略とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    町長を「バズーカで攻撃」フィリピンで暗殺未遂、大胆な犯行の一部始終を捉えた「衝撃映像」が話題に
  • 3
    180万トンの「リチウムごみ」を資源に...EV電池の「副産物」で建設業界のあの問題を解決
  • 4
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界…
  • 5
    秋田県は生徒の学力が全国トップクラスなのに、1キロ…
  • 6
    パキスタン戦闘機「JF17」に輸出交渉が相次ぐ? 200…
  • 7
    配達ライダーを飲み込んだ深さ20メートルの穴 日本…
  • 8
    致死率高い「ニパウイルス」、インドで2人感染...東…
  • 9
    日本経済を中国市場から切り離すべきなのか
  • 10
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」と「フリース」に移った日
  • 3
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡張に新たな対抗手段
  • 4
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界…
  • 5
    データが示す、中国の「絶望的な」人口動態...現実味…
  • 6
    ラブロフ、グリーンランドは‌デンマーク​の「自然な…
  • 7
    一人っ子政策後も止まらない人口減少...中国少子化は…
  • 8
    スペースXの宇宙飛行士の帰還が健康問題で前倒しに..…
  • 9
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
  • 10
    40代からは「積立の考え方」を変えるべき理由──資産…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 3
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した──台湾高官が分析
  • 4
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 5
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 6
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 7
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 8
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチ…
  • 9
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
  • 10
    【クイズ】韓国を抜いて1位に...世界で最も「出生率…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中