最新記事

アップル

iPad2が未来を連れてくる【後編】

劇的変更がないのは、アップルがiPadを未来型コンピューティングの先駆けと位置づけている証拠だ

2011年3月4日(金)16時20分
ファハド・マンジュー

使えるカバー 純正の折りたたみ式「スマートカバー」を使えば操作がさらに快適に Beck Diefenbach-Reuters

<前編はこちら

 もし初代iPadを持っているなら、新型に買い換える必要はないと思う。それほど大きな違いはないからだ。

 iPad2はより薄く、軽くなったうえ高速化も実現した。アップルによれば、新たなプロセッサの処理速度は従来型の2倍だという。だが実際に使ってみたところ、そこまで劇的に速くはなっている感じはしなかった。従来型も反応はよかったし、それは新型も同じだ。

 iPad2は2台のカメラも搭載。これで、iPadがライバルのタブレット型端末に劣っていた点が改善された。本体の前面に付いている低解像度カメラは、ビデオチャットで自分を映す時に使える。背面の高解像度カメラではビデオ撮影ができる。実際に背面のカメラを使ってみたが、画質はくっきりと鮮明だった。問題は、カメラとして使うにはiPad2が大きすぎる点だ。ビデオを撮りたいなら携帯電話を使うほうが楽だろう。

 でも、ビデオの編集なら簡単にできる。アップルは映像編集アプリ「iMovie」の配信も発表したが、これが実に楽しくて使いやすい。映像編集は文字入力などと違って、タイピングをあまり必要としないからだろう。iPadを使っていていつも思うのは、文字や映像を見るのにはいいが制作するのには適していないということ。でも実際は、私のような素人が映像をカットしたりつなぎ合わせたりする作業は、キーボードとマウスを使うよりタッチスクリーンのほうがずっとラクにできる。

はまるソフトもアップルならでは

 アップルは音楽制作アプリ「Garage Band」の配信も発表した。こちらもプロのミュージシャンではなく一般人向けのアプリ。画面上に出てくる様々な楽器を弾いたり叩いたりして、格好いい演奏ができる。

 実際に試してみると、本当に面白い。練習なんかしなくても、誰もが美しい音楽を奏でられるのだから。初めて自分が出す音を聞いた時には、我ながらすごい! と自信満々に思うはずだ。

 タブレット型端末での映像編集や音楽制作には興味がないという人もいるだろう。だがこうしたアプリは、アップルがタブレット型端末のハードウエアだけでなくソフトウエアにも力を注いでいる証拠だと知っていて損はない。そこが、ハードのみ重視しているライバルたちとの違いだ。

 ジョブズによれば、アップストアで販売されているiPad用アプリは6万5000種類。一方、グーグルのOS(基本ソフト)「アンドロイド」を搭載したタブレット型端末向けのアプリは100に満たない。もしタブレット型端末の購入を考えているなら、これはかなり大きな違いだ。

© 2011 WashingtonPost.Newsweek Interactive Co. LLC (Distributed by The New York Times Syndicate)

─3月2日発売の本誌2011年3月9日号(カバー特集は「リビア暴君の最期」)に掲載の
■「タブレットPC戦争、iPad2も圧勝か」
も併せてどうぞ

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

アングル:AI導入でも揺らがぬ仕事を、学位より配管

ワールド

アングル:シンガポールの中国人富裕層に変化、「見せ

ワールド

チョルノービリ原発の外部シェルター、ドローン攻撃で

ワールド

焦点:闇に隠れるパイロットの精神疾患、操縦免許剥奪
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:日本時代劇の挑戦
特集:日本時代劇の挑戦
2025年12月 9日号(12/ 2発売)

『七人の侍』『座頭市』『SHOGUN』......世界が愛した名作とメイド・イン・ジャパンの新時代劇『イクサガミ』の大志

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 2
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺るがす「ブラックウィドウ」とは?
  • 3
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価に与える影響と、サンリオ自社株買いの狙い
  • 4
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 5
    ホテルの部屋に残っていた「嫌すぎる行為」の証拠...…
  • 6
    「搭乗禁止にすべき」 後ろの席の乗客が行った「あり…
  • 7
    【クイズ】アルコール依存症の人の割合が「最も高い…
  • 8
    『羅生門』『七人の侍』『用心棒』――黒澤明はどれだ…
  • 9
    仕事が捗る「充電の選び方」──Anker Primeの充電器、…
  • 10
    ビジネスの成功だけでなく、他者への支援を...パート…
  • 1
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 2
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺るがす「ブラックウィドウ」とは?
  • 3
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」が追いつかなくなっている状態とは?
  • 4
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 5
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%…
  • 6
    イスラエル軍幹部が人生を賭けた内部告発...沈黙させ…
  • 7
    【クイズ】アルコール依存症の人の割合が「最も高い…
  • 8
    【銘柄】関電工、きんでんが上昇トレンド一直線...業…
  • 9
    人生の忙しさの9割はムダ...ひろゆきが語る「休む勇…
  • 10
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙す…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 4
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 9
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 10
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中