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私がフェースブックをやめた理由

2010年5月25日(火)17時39分
ダニエル・ライオンズ(テクノロジー担当)

それでもユーザーは増え続ける

 もううんざりだ。私は登録を抹消した。これまでもヘビーユーザーではなかったから、別に困らない。多くの人々が同じように退会した。IT企業の幹部である友人からは、こんなメールが来た。「自分や友人のプライベートが公開される仕組みにぞっとする。今ではあまりフェースブックにアクセスしない。信用できないから」

 注目すべきは「信用できない」というフレーズだ。フェースブックが常に私たちユーザーを騙してきたから、という意味だけではない。企業経営のいい加減さという点でも、同社への信用は崩れようとしている。

 わずか数週間前、同社の広報・公共政策問題の責任者エリオット・シュレージは私の取材に対して、ユーザー個人のデータを広告主と共有することはありえないと語っていた。だがその一週間後、データを共有していた事実が明るみに出た。シュレージが嘘をついたとは思えないから、不注意で情報が流出したのだろう。そのほうが、いっそう恐ろしい。
 
 もっとも、私や友人が怒りまくっているからといって、フェースブックが傷つくことはない。今年の収益は推定10億ドル。4カ月前に4億人だったユーザーは、いまや5億人に達する。

 大半のユーザーは一連の騒動を知らないし、知っていても気にしない。フェースブックが大好きで、毎日何時間も費やしている。

 今回のスキャンダルも、同社にとっては新規株式公開(IPO)で巨万の富を手に入れる道のりにおける、ほんの小さなつまづきにすぎないのだろう。
 
 すべては、世界をよりよい場所にしたいと願う素直で理想主義者の若者のしていること。お友達が所有するメディアを使ってお決まりの声明を発表する少年が、すべてを動かしている。ああ、なんて心温まる話だろう。

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