最新記事

山下哲也(ギャルソン)

世界が尊敬する日本人

国境と文化の壁を越えて輝く
天才・鬼才・異才

2009.04.08

ニューストピックス

山下哲也(ギャルソン)

カフェの本場でめざす究極のおもてなし

2009年4月8日(水)18時03分
トレーシー・マクニコル(パリ)

 黒のタキシードとパリッとした白のエプロンに身を包み、山下哲也(34)はパリにある「カフェ・ド・フロール」のテーブルの間を軽やかにぬって給仕に就く。

 創業1890年のこの老舗カフェは長年、ピカソやヘミングウェイなど著名人に愛されてきた。常連客だった哲学者サルトルは、「綱渡りの曲芸師のように大胆にトレイを操る」ギャルソンを称賛したものだ(トレイの重さは6キロになることも)。

 ギャルソンの報酬は歩合とチップのみ。サービスは磨かれるが、精神的にも肉体的にも競争はきつい。「まるでスポーツだ」と、山下は語る。

 東京・表参道のカフェ・ド・フロール(現在は閉店)で仕事を覚えた山下はやがて「本場」に憧れるようになった。だが、パリの店では白人のフランス人しか雇わないとも言われた。当時の山下はフランス語も話せなかったという。渡仏を果たしたのは02年。語学を学びながら、9カ月間、毎週店に通ってチャンスをつかんだ。批判も耳に入るが(「どうして日本人がこの店で働いているんだ?」)、山下は理解を示す。「フランスは保守的だから。エッフェル塔だって最初は評判が悪かった」

 現在は正規スタッフ20人のうちの1人。日本でカフェを出せば儲かるといわれるが、そこは根っからの曲芸師のこと、ちょっとやそっとのことでは揺らがない。「それじゃ、簡単すぎる」と、山下は完璧なフランス語で答えてみせた。

[2007年10月17日号掲載]

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

北朝鮮の金与正氏、ドローン飛来で韓国に調査要求

ワールド

米ミネアポリスで数万人デモ、移民当局職員による女性

ワールド

米、来週にもベネズエラ制裁さらに解除=ベセント氏

ワールド

吉村・維新の会代表、冒頭解散「驚きない」 高市氏と
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:AI兵士の新しい戦争
特集:AI兵士の新しい戦争
2026年1月13日号(1/ 6発売)

ヒューマノイド・ロボット「ファントムMK1」がアメリカの戦場と戦争をこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    中国が投稿したアメリカをラップで風刺するAI動画をネット民冷笑...「本当に痛々しい」
  • 3
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した──台湾高官が分析
  • 4
    Netflix『ストレンジャー・シングス』最終シーズンへ…
  • 5
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 6
    【クイズ】アメリカを貿易赤字にしている国...1位は…
  • 7
    決死の嘘が救ったクリムトの肖像画 ──ナチスの迫害を…
  • 8
    美男美女と話題も「大失敗」との声も...実写版『塔の…
  • 9
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 10
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した──台湾高官が分析
  • 3
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 4
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 5
    中国が投稿したアメリカをラップで風刺するAI動画を…
  • 6
    次々に船に降り立つ兵士たち...米南方軍が「影の船団…
  • 7
    眠る筋力を覚醒させる技術「ブレーシング」とは?...…
  • 8
    ベネズエラの二の舞を恐れイランの最高指導者ハメネ…
  • 9
    Netflix『ストレンジャー・シングス』最終シーズンへ…
  • 10
    【クイズ】アメリカを貿易赤字にしている国...1位は…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 3
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 4
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「…
  • 5
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 6
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切…
  • 7
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した─…
  • 8
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 9
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 10
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中