コラム

少女買春、収賄、選挙不正...米議員「炎上」で、際立つトランプの無傷ぶり

2021年04月27日(火)19時52分
ロブ・ロジャース(風刺漫画家)/パックン(コラムニスト、タレント)
マット・ゲーツ議員とトランプ前大統領(風刺画)

©2021 ROGERS─ANDREWS McMEEL SYNDICATION

<トランプと同じようなスキャンダルを起こした「トランプ・チルドレン」の議員だが、両者への共和党の待遇は大違い>

米連邦下院議員のマット・ゲーツ(Matt Gaetz)は困っている! 司法省の捜査対象であることが報じられてから、国民に憎まれ、コメディアンにはバカにされる上、所属の共和党からも干されつつある。同党の議員は辞任を呼び掛け、下院倫理委員会は調査を開始。起訴された場合、党は制裁を科すと同党幹部は言う。雪祭りに火炎放射器を放ちまくる人並みに嫌がられている。

何をやったのか? 司法省は未成年との性行為を含む買春などについて調べているという。ほかにも収賄、選挙資金の私的利用、麻薬の使用、関係を持った相手の裸の写真を議事堂で同僚議員に見せたことなども倫理委員会は調べるようだ。委員会の仕事は遅いが、少なくとも写真はすぐ調べる気がする。

確かに、事実であればとんでもない不適切な行為だ。でも、本人は否定しているし、もっとひどい疑惑がある共和党政治家はいる。例えば、ゲーツは選挙戦中にポルノ女優に口止め料など支払っていない。20人以上の女性から性的暴力などで告発されていない。政府に対する暴動を扇動していない。保険詐欺、銀行詐欺、脱税もしていないし、不正選挙も共謀していない。

これら全てをやった疑いを持たれているのは、ドナルド・トランプ前大統領。これらを含めて10以上の裁判と複数の捜査の対象になっている。雇用対策に注力したトランプだが、少なくとも検察官、捜査官、弁護士、裁判所速記官などの仕事を増やすことに成功しているね。

2人は実は深い関係にある。ゲーツはトランプ人気に便乗して当選した「トランプ・チルドレン」の代表格。不祥事疑惑も「親」に似ることに驚きはない。不思議なのは、2人に対する党からの待遇の差だ。ゲーツよりも数多くの深刻な疑惑を持たれているトランプは、今も厚遇されている。

退任後、トランプが隠居中の別荘「マールアラーゴ」では数々の共和党政治家、共和党関連組織がイベントを催している。つまり、敬意もお金もトランプに払っている。先日は共和党全国委員会がここで主催する晩餐会のため10万ドルを支出したようだ。風刺画はこの冷遇・厚遇の差を、アメリカの有名なけなし文句をもじって表現している。馬い!

ポイント

TO HELL WITH YOU... AND THE HORSE YOU RODE IN ON!
お前の馬もろともくそ食らえ!(英語の慣用句)

NO, WAIT...NOT THE HORSE. THE HORSE IS COOL.
待てよ......馬のほうは大丈夫。馬はいい感じだ。

GOP
Grand Old Party の略で、共和党の愛称。同党のシンボルは象。

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7月27日号(7月20日発売)は「ドキュメント 癌からの生還」特集。東大病院から「逃亡」、転院先では手術回避、最後は自ら選んだ治療で生き延びた記者の「決断と選択」

プロフィール

ロブ・ロジャース(風刺漫画家)/パックン(コラムニスト、タレント)

<パックン(パトリック・ハーラン)>
1970年11月14日生まれ。コロラド州出身。ハーバード大学を卒業したあと来日。1997年、吉田眞とパックンマックンを結成。日米コンビならではのネタで人気を博し、その後、情報番組「ジャスト」、「英語でしゃべらナイト」(NHK)で一躍有名に。「世界番付」(日本テレビ)、「未来世紀ジパング」(テレビ東京)などにレギュラー出演。教育、情報番組などに出演中。2012年から東京工業大学非常勤講師に就任し「コミュニケーションと国際関係」を教えている。その講義をまとめた『ツカむ!話術』(角川新書)のほか、著書多数。近著に『大統領の演説』(角川新書)。

パックン所属事務所公式サイト

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