プレスリリース

第20回高校化学グランドコンテスト、「文部科学大臣賞」は東京都立日比谷高等学校が受賞

2025年10月27日(月)13時00分
芝浦工業大学(東京都江東区/学長 山田純)が主催する「第20回 高校化学グランドコンテスト」の最終選考会が10月25日、26日に芝浦工業大学豊洲キャンパスで開催され、1位の文部科学大臣賞には東京都立日比谷高等学校が選ばれました。
3位までの3チームには、芝浦工業大学が海外の国際フォーラムの参加費や渡航費などを支援します。

画像1: https://www.atpress.ne.jp/releases/552714/LL_img_552714_1.jpg
文部科学大臣賞を受賞した東京都立日比谷高等学校(左)と、芝浦工業大学 学長 山田純

■研究概要
ドラッグ・リポジショニングを活用した遺伝子操作技術の開発
ドラッグ・リポジショニングとは、既存薬を新たな用途に転用することであり、高い安全性が確保できる戦略である。しかし、遺伝子治療への応用例は限られている。近年、世界的に遺伝子治療研究が加速するなか、安全性が保証された遺伝子操作技術の開発が求められている。DNA組換え酵素(Creリコンビナーゼ;Cre)は、病因遺伝子を取り除くことができ、Cre-IoxPシステムとして広く基礎研究で利用されている。しかし、ドラッグ・リポジショニング戦略でCreの時間的制御(ON/OFF制御)を試みた従来技術は、DNA組換え効率が低く、医療応用への障壁となっていた。
本研究では、Creの働きを一時的に失わせた後(OFF状態)、二量体化促進タンパク質(ロイシンジッパー)を連結することで、抗生物質として広く用いられる安全なトリメトプリム(TMP)を添加した時(ON状態)の働きを向上させ、従来技術と比較してDNA組換え効率を8倍も高める遺伝子操作技術を開発した。


■第20回 高校化学グランドコンテスト 結果
【グランドアワード】
口頭発表10チームの中から特に優れた発表に贈られる賞。
・1位 文部科学大臣賞
東京都立日比谷高等学校「ドラッグ・リポジショニングを活用した遺伝子操作技術の開発」
・2位 化学未来賞
静岡北高等学校 科学部水質班「安価な自作炎光光度計によるリチウムイオンの定量法の開発」
・3位 化学技術賞
兵庫県立宝塚北高等学校 化学部「天然多糖類を用いた固体二次電池の開発」

グランドアワードを受賞した上記3チームは、シンガポールで実施されるサイエンスフェア「International Science Youth Forum (ISYF)」、もしくは台湾で実施されるサイエンスフェア「Taiwan International Science Fair (TISF)」に招待します。
前回1位と3位のチームが2025年1月に台北(台湾)で開催されたTISFに参加し、それぞれ生化学部門1位、化学部門3位を受賞しました。

【アワード】
・審査委員長賞
福井県立藤島高等学校 課題研究チーム「高濃度溶液における凝固点降下」
・審査委員特別賞
灘高等学校 化学研究部「アントラセン誘導体の 9,10 位への導入基と 溶液中での消光に関する考察」

【口頭発表金賞】
愛媛県立西条高等学校 科学部、大牟田高等学校、岐阜県立岐阜高等学校 自然科学部化学班、大阪桐蔭高等学校 理科研究部、名城大学附属高等学校 スーパーサイエンスクラス

【ポスター賞(同名校は別メンバーによる発表と受賞)】
芝浦工業大学柏高等学校 科学部、福井県立藤島高等学校、長野県諏訪清陵高等学校 化学部、長野県諏訪清陵高等学校 化学部、岐阜県立八百津高等学校 自然科学部、静岡北高等学校 科学部水質班、滋賀県立虎姫高等学校、愛媛大学附属高等学校 理科部、愛媛県立西条高等学校 科学部、池田高等学校 地球科学班桜島チーム

【特別協賛企業賞】
特別協賛企業独自の視点で選考される賞で、口頭発表が対象。
・第一三共賞
東京都立日比谷高等学校「ドラッグ・リポジショニングを活用した遺伝子操作技術の開発」
・NAGASE賞
大阪桐蔭高等学校 理科研究部「マイクロファイバー汚染のポリエステル繊維の細菌による分解」
・DIC -Color and Comfort- 賞
灘高等学校 化学研究部「アントラセン誘導体の 9,10 位への導入基と 溶液中での消光に関する考察」
・日本ゼオン・チャレンジ賞~挑戦の先に答えはある。~
福井県立藤島高等学校 課題研究チーム「高濃度溶液における凝固点降下」
・IHI賞~未来を拓く挑戦者たちへ~
兵庫県立宝塚北高等学校 化学部「天然多糖類を用いた固体二次電池の開発」
・水のオルガノ賞
静岡北高等学校 科学部水質班「安価な自作炎光光度計によるリチウムイオンの定量法の開発」

【ゴールド協賛企業賞】
ゴールド協賛企業独自の視点で選考される賞で、ポスター発表が対象。

・サカタインクス賞
静岡県立静岡高等学校 化学部「代替プラスチックの研究2025」
・メルク賞
安田学園高等学校 サイエンスクラブ「キャパシタなしで暗闇で発電する太陽電池~Donnan電位の利用~」
・化学情報協会賞
愛知県立春日井高等学校 サイエンス部「植物色素を用いて濾紙でpH試験紙をつくる」
・ケミマテ賞
富山県立富山中部高等学校 スーパーサイエンス部「銅(II)錯イオン溶液中で生じる真鍮表面の薄膜による構造色 ~薄膜干渉の色彩を利用した彩り豊かな生活空間~」


■高校化学グランドコンテストとは
https://www.shibaura-it.ac.jp/gracon/2025/
全国の高校生および高等専門学校生(3年生以下)が行っている「学習研究活動」を支援し、高校生自らが自主的な探究活動を楽しみながら科学的な創造力を培い、将来、科学分野で活躍できる人材の育成を念頭に置いて行っている教育支援プログラムです。2004年から大阪市立大学を中心に実施してきましたが、コロナ禍を経た2023年度からは芝浦工業大学が主催しています。
第20回を迎えた今回の高校化学グランドコンテストでは、10月25日(土)・26日(日)に芝浦工業大学豊洲キャンパスで最終選考会を開催しました。第1次審査を通過した全国66校115チームの高校生が研究成果を発表し、2日間で延べ900人以上が来場しました。

画像2: https://www.atpress.ne.jp/releases/552714/LL_img_552714_2.jpg
口頭発表の様子

画像3: https://www.atpress.ne.jp/releases/552714/LL_img_552714_3.jpg
参加者全員の集合写真

■芝浦工業大学とは
工学部/システム理工学部/デザイン工学部/建築学部/大学院理工学研究科
https://www.shibaura-it.ac.jp/
理工系大学として日本屈指の学生海外派遣数を誇るグローバル教育と、多くの学生が参画する産学連携の研究活動が特長の大学です。東京都(豊洲)と埼玉県(大宮)に2つのキャンパス、4学部1研究科を有し、約9,500人の学生と約300人の専任教員が所属。2024年には工学部が学科制から課程制に移行。2025年にデザイン工学部、2026年にはシステム理工学部で教育体制を再編し、新しい理工学教育のあり方を追求していきます。創立100周年を迎える2027年にはアジア工科系大学トップ10を目指し、教育・研究・社会貢献に取り組んでいます。


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プレスリリース提供元:@Press
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