プレスリリース

GSアライアンスが、環境に優しい天然深共晶溶媒を用いた、SDGsに配慮したリチウムイオン電池からのレアメタルのリサイクル技術を開発

2022年12月26日(月)10時30分
脱炭素、カーボンニュートラル社会構築のための、環境、エネルギー分野向けの最先端技術を研究開発するGSアライアンス株式会社は、同社で開発している天然深共晶溶媒を用いて、リチウムイオン電池の正極やブラックマスから、コバルト、ニッケル、マンガンなどのレアメタル金属をリサイクルすることに成功しました。

カーボンニュートラル、脱炭素社会構築に向けて、リチウムイオン電池などの蓄電池は重要な技術であり、特にEV、携帯電話、各種電子機器や定置用電池などの急速な広がりによって、リチウムイオン二次電池を構成するレアメタルの安定な確保が重要な課題となっています。そのためにリチウムイオン電池の資源循環、リサイクルへの取り組みも加速しています。特に、リチウムイオン電池の構成部品である正極にはコバルト、ニッケルやマンガン等のレアメタルが使用されており、持続的な資源サイクルのために、高効率かつ環境調和型のレアメタル分離回収技術の確立が急務です。また、リチウムイオン電池においては、鉛電池のようにリサイクルモデルがうまく成立しておらず、電池廃棄物が増えていることも課題です。

現在の湿式法においては、有毒で腐食性のある硫酸などの無機酸の使用による酸廃液の発生や、有機溶媒の利用による環境負荷が懸念されており、より環境に優しいリサイクル技術が求められています。またリチウムイオン電池のリサイクルは概してコストが高くなり、乾式冶金方式においては高温度下での作業や、有害な煙霧が発生したり、作業者にとっても過酷な危険な環境になります。

このような課題に対して、同社の森良平博士(工学)は、硫酸などの無機酸や有機溶媒の代わりに、同社で合成している深共晶溶媒、特に環境に優しい天然深共晶溶媒を用いて、リチウムイオン電池の正極、及び廃棄されたリチウムイオン電池から取り出したブラックマスからレアメタル(コバルト、ニッケル、マンガン)を抽出する技術を開発しました。ブラックマスは、川島グループ(株式会社シンコーフレックス)から、サンプルとして提供して頂いたものを実験に使用しました。同社とはリチウムイオン電池のリサイクルに関する研究を進めることを検討しています。

画像1: https://www.atpress.ne.jp/releases/340469/LL_img_340469_1.jpg
廃棄されたリチウムイオン電池から取り出したブラックマスや、正極材料から天然深共晶溶媒を用いてレアメタルを抽出している様子

今後は、無機酸を用いた場合のレアメタル抽出法との効率の比較、また、さらに回収分離効率の高い他の深共晶溶媒、及び沈殿法の探索、そして、他社との協業なども検討していく予定です。


■深共晶溶媒とは
深共晶溶媒(Deep Eutectic Solvent:DES)とは、イオン液体と類似した性能を持つ新しいタイプの溶媒です。ルイス酸またはブレンステッド酸と塩基の共晶混合物から形成される系であり、さまざまな陰イオン種、または陽イオン種から構成されます。水素結合ドナー性の化合物と水素結合アクセプター性の化合物をある一定の割合で混ぜることでつくる、室温で液体になる化合物です。2つ、または複数の化合物を用いて合成することにより、個々の成分のいずれよりも低い融点を持つ共晶を得ることができます。合成された深共晶溶媒は蒸気圧が低く、難燃性であり、熱安定性および電気化学的安定性が高い(電位窓が広い)などの特徴があります。一方で、イオン液体より、概して値段が安い、無害な場合が多いことも大きな利点です。
天然成分から作られる深共晶溶媒を特に天然深共晶溶媒(Natural Deep Eutectic Solvent:NADES)とも言い、より環境に優しい溶媒となっています。深共晶溶媒の応用例、検討例としては電池用電解液、カテキン、フラボノイド、アントラキノンのようなアルカロイドなどの各種の植物由来物質の抽出、有機合成用溶媒、ガス吸着、セルロース、リグニンなどの溶解、可塑剤、バイオ燃料の生成、そして、本件のレアアース、レアメタルなどの金属抽出、析出などがあります。


■会社概要
商号 : GSアライアンス株式会社(冨士色素株式会社グループ)
代表者 : 代表取締役 森 良平博士(工学)
本社所在地: 〒666-0015 兵庫県川西市小花2-22-11
事業内容 : カーボンニュートラル、脱炭素、SDGs課題に取り組む環境、
エネルギー分野の最先端技術の研究開発
(国連のスタートアップ企業支援プログラム
UNOPS GIC KOBEに2020年に採択)
URL : https://www.gsalliance.co.jp/


詳細はこちら
プレスリリース提供元:@Press
今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

テスラとLGエナジー、米で電池工場 43億ドル投資

ワールド

ホルムズ護衛、安全を100%は保証せず─IMO事務

ワールド

自民がイラン情勢で会議、「調査・研究名目のホルムズ

ワールド

フィリピン、南シナ海全域に対する中国の主権主張を拒
MAGAZINE
特集:イラン革命防衛隊
特集:イラン革命防衛隊
2026年3月24日号(3/17発売)

イスラム神権国家を裏からコントロールする謎の軍隊の歴史と知られざる実力

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    住宅建設予定地に眠っていた「大量の埋蔵金」...現在の価値でどれくらい? 誰が何のために埋めた?
  • 3
    「ネタニヤフの指が6本」はなぜ死亡説につながったのか?
  • 4
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
  • 5
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」…
  • 6
    「筋肉はモッツァレラと同じ」...なぜウォーミングア…
  • 7
    「映画賞の世界は、はっきり言って地獄だ」――ショー…
  • 8
    幼い子供たちの「おぞましい変化」を克明に記録...「…
  • 9
    「危険な距離まで...」豪ヘリに中国海軍ヘリが異常接…
  • 10
    世界の視線は中東から日本へ...企業主導で築くインド…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 3
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」と言われる外国特派員の私が思うこと
  • 4
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
  • 5
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...…
  • 6
    「このままよりはマシだ」――なぜイランで米軍の攻撃…
  • 7
    職業別の収入に大変動......タクシー運転手・自動車…
  • 8
    キャサリン皇太子妃、英連邦デー式典に出席...公開さ…
  • 9
    ズボンを穿き忘れてる! 米セレブ、下を穿かず「目の…
  • 10
    世界の視線は中東から日本へ...企業主導で築くインド…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 3
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 4
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 5
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 6
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 7
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 8
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
  • 9
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く…
  • 10
    「水道水」が筋トレの成果を左右する...私たちの体に…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中