Picture Power

【写真特集】ゲイの夫夫が手にした父権の肖像

PORTRAITS OF DADS

Photographs by BART HEYNEN

2021年06月12日(土)15時00分

ゲイカップルは実子を持つことに絶望し過ぎていると語るバーノン(左)とリカルドは、双子の女児ハーパーとノックスを授かった。代理母探しをしたゲイカップルは周囲にいなかったが、同じ悩みを持つ彼らの希望の光になろうと代理母を探した。家族で町を歩くと温かく接してもらえる。「お母さんは?」と聞かれたら「私たちが父親で、子供は代理母出産で生まれた」と答える。それを聞いた人は、少し考えてから異口同音にこう言って喜んでくれる。「アメージングだ!」

<アメリカ全州で同性婚が合法になった2015年以降、多くのゲイカップルが史上初めて父権を手にした>

2015年にアメリカの全ての州で同性婚が合法になると、ゲイコミュニティーの間で歴史的なベビーブームが起きた。自身もゲイであるフォトグラファーのバート・ヘイネンは、子供を持つ夢をかなえたアメリカのゲイカップルを追い、写真集『DADS』に家族の肖像を収めた。

それぞれ多様な背景を持つカップルだが、共通することは彼らが皆ゲイであり、そして子供がいるということだ。養子縁組や、卵子提供を受けての代理母出産など手段は違えども、ゲイの歴史において初めて父権を手にした先駆者として今を生きている。

この作品は、そうした家族の日常生活に光を当てながら、同性愛者と非同性愛者の間に交差するユニークな違いと共通点を浮かび上がらせた。ページをめくるたびに、どの家族もそれぞれ、背丈も皮膚の色も体格も違うことを思い起こさせる。

ゲイを公言している著名な俳優で映画プロデューサーでもあるハーベイ・ファイアスタインはこう語る。「愛や献身や家族は、異性間だけの経験でも言葉でもない。それらは人間としての言葉であり、全ての人に属する」

ppgay02.jpg

ツエマ(左)とパブロが授かった、この日の朝に生まれた新生児

ppgay03.jpg

州によっては2017年まで同性婚者の養子縁組が禁じられていたこともあり、エリオット(左から2人目)とマシュー(右端)は体外受精の可能性を探ったが、卵子の提供者や代理母出産の引き受け手探しが悩みだった。卵子ドナーのウェブサイトも見たが、ネットで卵子を売買することに抵抗を覚えた。そこへ意外な提供者が現れた。エリオットの実妹(中央)だ。さらに当時60歳だったマシューの母親シール(左端)が代理母を申し出た。2人の男性の夢をサポートした肉親の女性たちによる出産の物語── 。これも生命の起源の1つだ

ppgay04.jpg

ニューヨークのブルックリンで近所の人と話すグレン(左端)と家族

ppgay05.jpg

ハリソン(左)とクリストファー(中央)は実親と養親が連絡を取り合う「オープン養子縁組」を選択

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

香港の大規模住宅火災、ほぼ鎮圧 依然多くの不明者

ビジネス

英財務相、増税巡る批判に反論 野党は福祉支出拡大を

ビジネス

中国の安踏体育と李寧、プーマ買収検討 合意困難か=

ビジネス

ユーロ圏10月銀行融資、企業向けは伸び横ばい 家計
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ガザの叫びを聞け
特集:ガザの叫びを聞け
2025年12月 2日号(11/26発売)

「天井なき監獄」を生きるパレスチナ自治区ガザの若者たちが世界に向けて発信した10年の記録

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで墜落事故、浮き彫りになるインド空軍の課題
  • 2
    【最先端戦闘機】ミラージュ、F16、グリペン、ラファール勢ぞろい ウクライナ空軍は戦闘機の「見本市」状態
  • 3
    【クイズ】次のうち、マウスウォッシュと同じ効果のある「食べ物」はどれ?
  • 4
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 5
    がん患者の歯のX線画像に映った「真っ黒な空洞」...…
  • 6
    【寝耳に水】ヘンリー王子&メーガン妃が「大焦り」…
  • 7
    ウクライナ降伏にも等しい「28項目の和平案」の裏に…
  • 8
    7歳の娘の「スマホの検索履歴」で見つかった「衝撃の…
  • 9
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙す…
  • 10
    ミッキーマウスの著作権は切れている...それでも企業…
  • 1
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるようになる!筋トレよりもずっと効果的な「たった30秒の体操」〈注目記事〉
  • 2
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで墜落事故、浮き彫りになるインド空軍の課題
  • 3
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やってはいけない「3つの行動」とは?【国際研究チーム】
  • 4
    マムダニの次は「この男」?...イケメンすぎる「ケネ…
  • 5
    AIの浸透で「ブルーカラー」の賃金が上がり、「ホワ…
  • 6
    海外の空港でトイレに入った女性が見た、驚きの「ナ…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    【最先端戦闘機】ミラージュ、F16、グリペン、ラファ…
  • 9
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベー…
  • 10
    老後資金は「ためる」より「使う」へ──50代からの後…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 6
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 7
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 10
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story