最新記事
シリーズ日本再発見

スメハラを防げ──活性化する日本の「におい対策」市場

2019年06月06日(木)11時05分
高野智宏

Hoozone-iStock.

<誰もが嫌う体臭や口臭。これら「におい問題」を解決してくれる優れた商品が、いくつも登場している>

男性用化粧品メーカーのマンダムが25〜49歳の男女1028人に調査した「職場のニオイに関する意識調査2017」によると、「職場での周囲の身だしなみで"どうにかして欲しいこと"」の問いで67.1%の得票率を獲得し、第1位となったのが「ニオイ(体臭)」。

これは、フケ(42.3%)に鼻毛(31.9%)、さらには伸びた爪・汚い爪(28.1%)などを大きく引き離す圧倒的な結果となった。しかも、前回調査(2014年)の60.4%から6.7ポイントも上昇している。最近では、においによって周囲に迷惑をかける行為を指す「スメハラ(スメルハラスメント)」なる言葉もささやかれるようになった。

意識調査に比例するように、日本の「におい対策」市場は活性化している。マンダムによれば、男性用デオドラント(体臭抑制)剤の市場規模は2013年から4年で約1.2倍に。日経クロストレンドも、消臭芳香剤の市場は成長しているのみならず――例えば、室内用から車用へと――細分化されて拡大し、現在はおよそ850億円になっている(芳香消臭脱臭剤協議会による)と2018年にレポートしている。

これから梅雨そして夏本番と、発汗量が増す季節を迎えるが、それに伴う「におい問題」への対処法はいくつもあるというわけだ。

実際、におい対策といっても、嫌なにおいを消すものから、においの元を断つもの、さらには香りで洗濯物を包み込む柔軟剤のような「いいにおい」を付けるものまで、さまざまだ。においと脳に着目した研究を行う杏林大学の古賀良彦名誉教授によれば、香りには脳を活性化させる効果や、逆に鎮静化させる(すなわち、リラクゼーションの)効果もあるというから、におい対策はスメハラ防止にとどまらない。

日本の消臭芳香剤はかつて、毒を以て毒を制すとでも言うような、別のにおいを加えて嫌なにおいを消すものが多かったと、古賀教授は言う。だが最近は、まず嫌なにおいを消す、その上で香りを付けるという商品が増えてきた。「これは正しい提案だと思う」

古賀教授によれば、「下水や汗のにおいなど、嫌なにおいについては多くの人の意見が一致し、無臭は誰にとっても好まれるが、好きなにおいは人によって異なる」。これまでの研究から、例えばラベンダーはリラックス効果を、レモンは活性化の効果を多くの日本人にもたらすことが分かっているというが、個人差が生じるのは興味深いところだ。

いずれにせよ、におい対策の第一歩は嫌なにおいを消すこと。きちんと対策を講じ、その上で自分と周囲にポジティブな効果をもたらせればなおよいだろう。ここでは、本格的な夏到来を前に、におい対策の優れた商品を4つ紹介したい。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

トルコ大統領、プーチン氏に限定停戦案示唆 エネ施設

ワールド

EU、来年7月から少額小包に関税3ユーロ賦課 中国

ビジネス

米クリーブランド連銀総裁、「引き締め的な政策」望む

ビジネス

利下げには追加データ待つべきだった、シカゴ連銀総裁
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
2025年12月16日号(12/ 9発売)

45年前、「20世紀のアイコン」に銃弾を浴びせた男が日本人ジャーナリストに刑務所で語った動機とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出を睨み建設急ピッチ
  • 2
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の脅威」と明記
  • 3
    受け入れ難い和平案、迫られる軍備拡張──ウクライナの選択肢は「一つ」
  • 4
    【クイズ】「100名の最も偉大な英国人」に唯一選ばれ…
  • 5
    【揺らぐ中国、攻めの高市】柯隆氏「台湾騒動は高市…
  • 6
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 7
    首や手足、胴を切断...ツタンカーメンのミイラ調査開…
  • 8
    人手不足で広がり始めた、非正規から正規雇用へのキ…
  • 9
    「前を閉めてくれ...」F1観戦モデルの「超密着コーデ…
  • 10
    中国軍機の「レーダー照射」は敵対的と、元イタリア…
  • 1
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 2
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価に与える影響と、サンリオ自社株買いの狙い
  • 3
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だから日本では解決が遠い
  • 4
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
  • 5
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 6
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 7
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の…
  • 8
    キャサリン妃を睨む「嫉妬の目」の主はメーガン妃...…
  • 9
    ホテルの部屋に残っていた「嫌すぎる行為」の証拠...…
  • 10
    中国軍機の「レーダー照射」は敵対的と、元イタリア…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 9
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 10
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中