伊藤博文を暗殺した安重根が主人公の『ハルビン』は見るべき映画......でも絶賛できない訳は
不満はもう1つ。真面目すぎるのだ。映画的高揚がほぼない。史実にこだわりすぎたのかと思いかけたが、映画的フィクションもそれなりに仕込まれているらしい。ならばなぜもっと突き抜けなかったのか。
姿勢は評価する。多くの人に観てほしい。これは大前提。でも観終えた感想を短い言葉にすれば、「残念だ」に尽きる。われながら矛盾している。でも本音だ。
『ハルビン』
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監督/ウ・ミンホ
出演/ヒョンビン、パク・ジョンミン、リリー・フランキー
(日本公開は7月4日)
<本誌2025年6月24日号掲載>
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