最新記事

メルマガ限定ページ

中国がインターポールを政治利用

2017年05月08日(月)18時30分

国際刑事警察機構(インターポール)の孟宏偉総裁(右、2016年8月撮影) REUTERS

<昨年11月、国際刑事警察機構の総裁に中国公安省幹部が選出された。中国が刑事捜査に政治を持ち込むのではないかと懸念されたが、それが今、現実となっている>

190の国・地域が加盟する国際刑事警察機構(インターポール)の総裁に、中国公安省の孟宏偉(モン・ホンウェイ)次官が選出されたのは昨年11月。刑事捜査に政治を持ち込む中国流のやり方がインターポールに悪影響を及ぼすのではないかと懸念する声は当初からあった。

その懸念がここへきて再燃している。2年前に国外逃亡し、現在はアメリカ在住の不動産王・郭文貴(クオ・ウエンコイ)に対し、インターポールが国際逮捕手配書を発行したからだ。

郭は3月、アメリカの中国語メディアの取材に応じ、中国共産党最高幹部の1人だった賀国強(ホー・クオチアン)元党中央規律検査委員会書記の一族が、政治的コネを使って大手証券会社の株式をひそかに取得したと告発。さらに詳しい情報を暴露すると予告していた。

この報道の後、インターポールは中国の元高官への贈賄容疑で郭の手配書を出した。香港の英字紙サウスチャイナ・モーニングポストによると、中国政府の求めに応じたものだという。

「第19回共産党大会まで、あと半年ほどしかない。習近平(シー・チンピン)国家主席は党内の主導権争いで不利になる動きを嫌がっている」と、中国政治に詳しいジャーナリストのビル・ビショップはこの一件の背景を説明する。

郭は3月のインタビューで、習側近の王岐山(ワン・チーシャン)党中央規律検査委員会書記の名前も出していた。「王一族をめぐる汚職や権力者同士の党内抗争が暴露されれば、党大会に向けた習の人事構想の妨げになりかねない」

だが、郭は国際手配を出されても沈黙しなかった。先週のボイス・オブ・アメリカ(VOA)とのインタビューでは、さらに数人の高官とその一族の汚職や不正行為を告発した。

ただこの番組は放送途中で中断された。ニューヨーク・タイムズ紙によれば、中国外務省の圧力があったという。

ベサニー・アレン・イブラヒミアン

From Foreign Policy Magazine

[2017年5月2日&9日号掲載]

MAGAZINE
特集:BTS再始動
特集:BTS再始動
2026年3月31日号(3/24発売)

3年9カ月の空白を経て完全体でカムバック。世界が注目する「BTS2.0」の幕開け

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    作者が「投げ出した」? 『チェンソーマン』の最終回に世界中から批判殺到【ネタバレ注意】
  • 2
    ヘンリー・メーガン夫妻の豪州訪問に3万6000人超の反対署名...「歓迎してない」の声広がる
  • 3
    意外と「プリンス枠」が空いていて...山崎育三郎が「日本産ミュージカルの夢」に賭ける理由【独占インタビュー】
  • 4
    デンマーク王妃「帰郷」に沸騰...豪州訪問で浮かび上…
  • 5
    「俺たちはただの人間だ」――BTSが新アルバム『ARIRAN…
  • 6
    まずサイバー軍が防空網をたたく
  • 7
    トランプが誤算? イラン攻撃延期の舞台裏、湾岸諸国…
  • 8
    三笠宮彬子さまも出席...「銀河の夢か、現実逃避か」…
  • 9
    100年の時を経て「週40時間労働」が再び労働運動の争…
  • 10
    親の遺産はもう当てにできない? ベビーブーム世代…
  • 1
    メーガン妃、娘リリベット王女との「お手伝い姿」公開...母としての素顔に反響
  • 2
    【銘柄】「三菱商事」の株価に高まる期待...ホルムズ海峡封鎖と資源価格高騰が業績を押し上げ
  • 3
    「マツダ・日産・スバル」が大ピンチ?...オーストラリアの「NVES規制」をトヨタが切り抜けられた理由
  • 4
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 5
    レストラン店内で配膳ロボットが「制御不能」に...店…
  • 6
    三笠宮彬子さまも出席...「銀河の夢か、現実逃避か」…
  • 7
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する…
  • 8
    中国の公衆衛生レベルはアメリカ並み...「ほぼ国民皆…
  • 9
    イランは空爆により核・ミサイル製造能力を「喪失」…
  • 10
    韓国製ミサイル天弓-II、イラン戦争で96%迎撃の衝撃 …
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 3
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 4
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 5
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 6
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 7
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 8
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 9
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
  • 10
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中