コラム

イギリス総選挙 政権交代しても、お先真っ暗な英国の未来

2024年07月05日(金)16時20分

「英国は破産の瀬戸際に立たされている」

ファラージ氏が英国独立党(UKIP)の党首をしていた09年欧州議会選の得票率は16%。14年の欧州議会選で27.5%となり、16年国民投票で離脱派は52%に達した。19年総選挙ではEU離脱を推し進めるボリス・ジョンソン首相(当時)の保守党の議席占有率は56%だった。

強硬なEU離脱派は英国の桎梏である。労働党政権になっても何一つ変わらない。金融コラムニストのマシュー・リン氏は英紙デーリー・テレグラフ(7月4日)に「誰も認めようとしていないが、英国は破産の瀬戸際に立たされている」と書く。

英シンクタンク「レゾリューション財団」によれば、政府債務残高の対国内総生産(GDP)比は100%に迫り、この16年間で3倍に膨れ上がった。税負担は27年度にGDPの38%近くに上昇。これは歴史上最も高い水準だ。

スナク首相だけでなく、スターマー新首相も「不都合な真実」に口を閉ざして選挙戦を戦った。高齢化が進み、生産性が低迷する先進国の誰もこの問題からは逃れられない。日本はその先頭を走っている。

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プロフィール

木村正人

在ロンドン国際ジャーナリスト
元産経新聞ロンドン支局長。憲法改正(元慶応大学法科大学院非常勤講師)や国際政治、安全保障、欧州経済に詳しい。産経新聞大阪社会部・神戸支局で16年間、事件記者をした後、政治部・外信部のデスクも経験。2002~03年、米コロンビア大学東アジア研究所客員研究員。著書に『欧州 絶望の現場を歩く―広がるBrexitの衝撃』(ウェッジ)、『EU崩壊』『見えない世界戦争「サイバー戦」最新報告』(いずれも新潮新書)。
masakimu50@gmail.com
twitter.com/masakimu41

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