コラム

イギリスを襲った史上最強の「熱波」...社会・経済を押しつぶす「真のコスト」は?

2022年07月20日(水)17時21分

「イギリスではこのような山火事を見たことがない」

英ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス(LSE)のトーマス・スミス准教授(環境地理学)は「イギリスでは、このような山火事を見たことがないと言ってもよいだろう。草むらや山林で発生した火災が都市部へ拡大し、建物の消失という前例のない事態になっている。記録的な高温に加え、相対湿度が非常に低く、しかも長い間雨が降っていなかった」と話す。

英エジンバラ大学のローリー・ハッデン上級講師(火災研究)は「地域社会の近くで火災が発生することは特に懸念される問題だ。世界の多くの地域(アメリカ、南欧、オーストラリア)では、住宅や建造物が植生と混在、または隣接している地域で火災が定期的に発生している」との懸念を示す。

英レディング大学のナイジェル・アーネル教授(気候変動科学)は「気候変動はイギリス全土で火災の危険性を高めており、私たちはそれに備える必要がある」と指摘する。オックスフォード大学スミス・スクール・オブ・エンタープライズ・アンド・エンバイロメントのラディカ・コスラ准教授は「これは異常なことではなく、新常態なのだ」と表情を引き締める。

「1986年から2005年に比べ、2019年には世界で4億7500万人余分に熱波に曝露(3日以上の猛暑を経験すること)されたことが観測された。イギリスがいま経験しているレベルの暑さは危険だ。イギリスの次のリーダーはネットゼロ目標に向けた揺るぎないコミットメントと同時に、緊急の適応が必要であることを理解しなければならない」

プロフィール

木村正人

在ロンドン国際ジャーナリスト
元産経新聞ロンドン支局長。憲法改正(元慶応大学法科大学院非常勤講師)や国際政治、安全保障、欧州経済に詳しい。産経新聞大阪社会部・神戸支局で16年間、事件記者をした後、政治部・外信部のデスクも経験。2002~03年、米コロンビア大学東アジア研究所客員研究員。著書に『欧州 絶望の現場を歩く―広がるBrexitの衝撃』(ウェッジ)、『EU崩壊』『見えない世界戦争「サイバー戦」最新報告』(いずれも新潮新書)。
masakimu50@gmail.com
twitter.com/masakimu41

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