コラム

「ドルも弱い」なのになぜ、円安が進む? 「ドル以外の通貨」に対する円の価値を見て分かること

2026年02月12日(木)17時18分

日本の大規模緩和策と、アメリカのトランプ関税

2020年前後を境に円安が顕著となってきたが、この動きの背景には、日本のインフレが今後、激しくなるとの予想がある。日銀は大規模緩和策を通じて市場に500兆円以上の資金を供給した。資金の多くは日銀当座預金内に収まっているものの、経済圏全体として見ればGDP(国内総生産)に匹敵する量のマネーがバラまかれており、当然のことながら多くの投資家が日本円の値が低下し、円安と物価上昇が進むと考えている。

一方、アメリカはトランプ政権が各国に対し高関税をかけるという無理な政策を実施しており、これも物価上昇を引き起こす。つまり日本には大規模緩和策という大きなインフレ要因が存在し、アメリカにも関税というインフレ要因が存在している状況だ。

為替というのはあくまで相対的な取引なので、双方にインフレ要因がある場合、その度合いが大きいほうの通貨が売られることになる。

アメリカがインフレになり、日本がそれ以上のインフレということになると、ドル円相場では円安が進み、ドルとユーロあるいはドルと人民元の相場においてはドル安が進むという流れが考えられる。その場合、日本は全ての通貨に対して下落する可能性が濃厚だろう。

プロフィール

加谷珪一

経済評論家。東北大学工学部卒業後、日経BP社に記者として入社。野村證券グループの投資ファンド運用会社に転じ、企業評価や投資業務を担当する。独立後は、中央省庁や政府系金融機関などに対するコンサルティング業務に従事。現在は金融、経済、ビジネスなどの分野で執筆活動を行うほか、テレビやラジオで解説者やコメンテーターを務める。『お金持ちの教科書』(CCCメディアハウス)、『スタグフレーション』(祥伝社新書)、『本気で考えよう! 自分、家族、そして日本の将来』 (幻冬舎新書)など著書多数。

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