コラム

露わになった「トランプ版モンロー主義」の衝撃...世界経済への影響はどこまで大きいのか?

2026年01月08日(木)17時53分

「中国とも良好な協力関係を築く」と、日本とも距離が

だが、世界のリーダーとして君臨するコストは高く、アメリカ国民の中からは、なぜそこまでして世界のリーダーになる必要があるのかという疑問の声が高まってきた。こうした世論を背景に誕生したのがアメリカ第一主義を掲げるトランプ大統領である。

筆者はトランプ政権の誕生当初から、アメリカは伝統的モンロー主義に回帰しつつあると指摘してきたが、トランプ氏の発言には一貫性がなく、帝国主義的な側面も見え隠れしており、これが各国を混乱させてきた面が否定できない。

今回、発表された新戦略は、簡単に言ってしまえば、南北アメリカ大陸(西半球)においては帝国主義的覇権を追求し、欧州や中露は無視するという内容であり、これでトランプ流モンロー主義の定義がハッキリした。

トランプ政権はウクライナに対して冷淡であり、今回の日中対立に際して「日本との強固な同盟関係を維持しつつ、中国とも良好な協力関係を築く」との声明を出すなど、日本に対しても一定の距離を置く姿勢を鮮明にした。


一方でグリーンランド領有に強い野心を示したり、ベネズエラ産原油を輸送するタンカーを拿捕するなど、南北アメリカ地域では露骨な覇権主義的姿勢を示している。一連の行動は今回発表された安保戦略に沿ったものと考えてよいだろう。

プロフィール

加谷珪一

経済評論家。東北大学工学部卒業後、日経BP社に記者として入社。野村證券グループの投資ファンド運用会社に転じ、企業評価や投資業務を担当する。独立後は、中央省庁や政府系金融機関などに対するコンサルティング業務に従事。現在は金融、経済、ビジネスなどの分野で執筆活動を行うほか、テレビやラジオで解説者やコメンテーターを務める。『お金持ちの教科書』(CCCメディアハウス)、『スタグフレーション』(祥伝社新書)、『本気で考えよう! 自分、家族、そして日本の将来』 (幻冬舎新書)など著書多数。

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