コラム

安倍元首相の国葬を「日本国の葬式」にしないために

2022年09月29日(木)15時40分

今、安倍元首相の後の空白を埋めることのできる政治家は現れていない。しかしそれは、今の政治がポピュリズム=マスコミ・大衆への迎合にこだわりすぎているからだ。ポピュリズムの魔術で安倍元首相にかなう者はいない。岸田首相は「新資本主義」などと言っているが、この漢字の羅列は大衆の心に何も響かない。

考えてみると、今の日本は戦前の日本ほど駄目な状況にはない。政治家も官僚も限界を暴露しているけれど、多くの企業は何とか生き残っている。家電産業は韓国、中国にやられたが、部品、製造機械、つまり他の企業を顧客とする製品──質・納期の厳守など最高水準が求められる──では、日本の企業は相変わらず世界トップだ。

そして、戦前の日本では軍部の一部がハネ上がって首相を次々に暗殺することで、政治・経済体制を破壊したが、今は満洲のように軍部、あるいは自衛隊が目の色を変える既得権益はない。

だからわれわれは腰を据えて、国葬の後の日本を大掃除しよう。根本的な問題点をえぐり出し、終戦後の日本のように学者も動員して骨太の改革案を作成し、政治家の腕力と官僚の事務能力でそれを実行していくしかない。ポピュリズム、そして特定の省庁に政策形成を丸投げするのはもう、やめにしよう。

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プロフィール

河東哲夫

(かわとう・あきお)外交アナリスト。
外交官としてロシア公使、ウズベキスタン大使などを歴任。メールマガジン『文明の万華鏡』を主宰。著書に『米・中・ロシア 虚像に怯えるな』(草思社)など。最新刊は『日本がウクライナになる日』(CCCメディアハウス)  <筆者の過去記事一覧はこちら

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