コラム

英国アカデミー賞でリベラル派真っ青のある事件が

2026年03月21日(土)14時46分
BAFTA(英国アカデミー賞)授賞式のジョン・デビッドソン

BAFTA(英国アカデミー賞)授賞式に出席したジョン・デビッドソン(右端) JAMES WARREN―REUTERS

<舞台に上がった黒人俳優にとんでもない差別語を叫んだのは...>

米アカデミー賞より一足先の2月にBAFTA(英国アカデミー賞)が行われたが、ある批評家は今年のBAFTA授賞式を「リベラル姿勢に対するやりすぎ風刺劇」にたとえた。

そこで何が起きたのかは、番組を見た人に限らずイギリス人の多くが知るところとなった。黒人俳優2人が舞台に上がっていた時に、会場にいた1人の人物がとんでもなく差別的な言葉を叫んだのだ。


さらにひどいことに、BBCはその瞬間をカットせずに放送してしまった。まさに放送事故だ。

しかしここにもうひとひねりある。その差別語は故意ではなく、トゥレット症候群の患者が不随意で発話したものだった。トゥレット症候群の人々の多くは、コプロラリア(汚言症)も患っている場合が多く、卑猥な言葉やタブーな発言が衝動的に口をついて出てしまう。

今回の「加害者」となってしまったのは、僕が以前にブログで書いたこともあるジョン・デビッドソンという人物だ。彼がこの会場にいたのは、彼自身を題材にした映画がノミネートされていたからで、その映画の題名はまさにピッタリなことに『I Swear』。swearは「罵る」と「誓う」の二重の意味を持つ。

プロフィール

コリン・ジョイス

フリージャーナリスト。1970年、イギリス生まれ。92年に来日し、神戸と東京で暮らす。ニューズウィーク日本版記者、英デイリー・テレグラフ紙東京支局長を経て、フリーに。日本、ニューヨークでの滞在を経て2010年、16年ぶりに故郷イングランドに帰国。フリーランスのジャーナリストとしてイングランドのエセックスを拠点に活動する。ビールとサッカーをこよなく愛す。著書に『「ニッポン社会」入門――英国人記者の抱腹レポート』(NHK生活人新書)、『新「ニッポン社会」入門--英国人、日本で再び発見する』(三賢社)、『マインド・ザ・ギャップ! 日本とイギリスの〈すきま〉』(NHK出版新書)、『なぜオックスフォードが世界一の大学なのか』(三賢社)など。

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