コラム

アストラゼネカ製コロナワクチン、欧州15カ国以上で使用を一時中止。火付け役はEUというより北欧の国々

2021年03月17日(水)10時35分

このように、EU加盟国というより、北欧という地域の国々がリードすることで、EUに組織的な影響を与えないのかという質問には、「そのようなことはないでしょう」と言っている。

「健康に関する真のヨーロッパの組織は、パンデミックが始まって以来、欠けていたものです。『健康のヨーロッパ』は、徐々に構築されているとはいえ、まだ存在していません。欧州医薬品庁(EMA)は、EU加盟国でのワクチンの使用を認可することを目的としています。とはいえ、各国の主権が尊重されているので、各国の行動は自由なのです」と語っている。

コロナ禍になって、国家主権が表に立つ傾向があり、影が薄くなっているEUであるが、パンデミックは初めての体験であり、これから少しずつ足並みを揃えていく可能性がある。EUは一致団結すれば、アメリカと同じくらい世界に影響力のある組織である。日本にも影響をさらに与えるのは必至となる。

今後どのように推移していくのか、注目していきたいと思う。

<引用・参考資料>

France 24(国際ニュース専門チャンネル)

Covid-19: Several European countries suspend AstraZeneca vaccinations over blood clot fears

Le laboratoire AstraZeneca annonce une nouvelle baisse des livraisons en Europe

France Info(公共放送)

DIRECT. Covid-19 : l'Agence européenne des médicaments se prononcera jeudi sur les soupçons d'effets indésirables liés au vaccin AstraZeneca

Ouest France(最も部数が多い地方紙)

Coronavirus. Ces pays qui suspendent l'utilisation du vaccin AstraZeneca jusqu'à nouvel ordre

Marianne(週刊誌)

Pourquoi seuls les pays nordiques en Europe ont suspendu le vaccin d'Astrazeneca

欧州医薬品庁(EMA)

EMA's safety committee continues investigation of COVID-19 Vaccine AstraZeneca and thromboembolic events - further update

※当記事はYahoo!ニュース 個人からの転載です。

※筆者の記事はこちら

プロフィール

今井佐緒里

フランス・パリ在住。個人ページは「欧州とEU そしてこの世界のものがたり」異文明の出会い、平等と自由、グローバル化と日本の国際化がテーマ。EU、国際社会や地政学、文化、各国社会等をテーマに執筆。ソルボンヌ(Paris 3)大学院国際関係・欧州研究学院修士号取得。駐日EU代表部公式ウェブマガジン「EU MAG」執筆。元大使インタビュー記事も担当(〜18年)。ヤフーオーサー・個人・エキスパート(2017〜2025年3月)。編著『ニッポンの評判 世界17カ国レポート』新潮社、欧州の章編著『世界で広がる脱原発』宝島社、他。Association de Presse France-Japon会員。仏の某省庁の仕事を行う(2015年〜)。出版社の編集者出身。 早稲田大学卒。ご連絡 saorit2010あっとhotmail.fr

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