コラム

イスラム圏で広がるコロナ陰謀論──反米イデオロギーを優先させる宗教指導者

2020年03月31日(火)19時05分

イランで多数派を占めるシーア派の信者たちには、聖者廟に手や唇で触れて参詣すると御利益があると信じる人が少なくない。以前、信者らがこの2つの廟の金属柵を舌でなめる動画が拡散したため、政府は強制閉鎖に踏み切ったのだが、廟に参詣することで病気が治癒するという人々の信念は根強い。

インドネシア保健相は2月24日、同国にコロナ感染者が一人もいないのは「神とわれわれの祈りのおかげ」だと公言した。しかしその後、インドネシアでも感染者が1000人を突破し、死者数も80人を超えた。

人は一般に、好ましくない現実を受け入れるのを忌避する傾向にある。加えてイスラム教では、因果律が否定され、コロナウイルスも神の意思によって伝染すると信じられている。イスラム教徒にとって信仰は絶対だ。信仰と現代の医療や科学は矛盾することなく両立するのだと積極的に伝え、適切な予防法・治療法へと信者を導くことができるか。政府と宗教指導者の真価が問われている。

<本誌2020年4月7日号掲載>

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2020年4月7日号(3月31日発売)は「コロナ危機後の世界経済」特集。パンデミックで激変する世界経済/識者7人が予想するパンデミック後の世界/「医療崩壊」欧州の教訓など。新型コロナウイルス関連記事を多数掲載。

プロフィール

飯山 陽

(いいやま・あかり)イスラム思想研究者。麗澤大学客員教授。東京大学大学院人文社会系研究科単位取得退学。博士(東京大学)。主著に『イスラム教の論理』(新潮新書)、『中東問題再考』(扶桑社BOOKS新書)。

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