米燃料価格は長期高止まりの兆し、有権者が中間選挙で政権に反発も
写真はガソリンスタンドの価格表示板。3月8日、米ワシントンで撮影。REUTERS/Kylie Cooper
Jarrett Renshaw
[18日 ロイター] - トランプ米大統領と与党共和党の議員は、イラン攻撃による原油高騰は極めて一時的で、11月の中間選挙で政治的痛手を受けることはないと楽観している。しかし市場関係者や業界アナリストによると、戦争終結などでイラン情勢が収束したとしても、米国の燃料価格は消費者を苦しめるほどの高水準に長くとどまる兆しが出ているという。
原油価格はイラン攻撃とその後のホルムズ海峡の事実上の封鎖に伴う世界的な供給の混乱を背景に急上昇。米国の指標は、ロシアによるウクライナ侵攻が起きた2022年以降で初めて1バレル=100ドルを突破した。米国の軽油も1ガロン=5ドル超と、22年終盤以来の高値になった。
トランプ氏は、エネルギー価格上昇はイランを軍事的に無力化する対価として安いものだと繰り返している。17日には、戦争が終わればエネルギー価格は一気に下落するとの見通しを改めて示した。
しかし原油先物や政府予測、さらには季節的な需要の高まりなどは、中東の緊張が和らいでも原油とガソリンの価格は下がらない可能性を示唆している、とアナリストは警告する。
その理由としてエネルギー価格は上昇よりも下落する方がスピードが鈍る傾向にある点を挙げている。
ケプラーのアナリスト、マット・スミス氏は「これらの価格が下がるのには時間を要する」と述べた。
燃料価格が夏場いっぱい高い状態が続けば、有権者は家計逼迫の責任がトランプ政権にあると判断し、中間選挙で「お灸をすえる」可能性がある。各種世論調査でも生活費増大を心配する声が広がっていることが分かり、野党民主党は「アフォーダビリティー(暮らしやすさ)」を主要な争点に掲げようとしている。
ミューレンバーグ・カレッジのクリス・ボリック教授(政治学)は、トランプ氏は自身のSNSとホワイトハウスの「拡声器」を駆使して政治的な事象を都合良く説明してきたが、ガソリン価格を思い通りにするのは難しいと指摘。「それ(ガソリン高)は生活の苦しさを最も露骨に思い出させ、有権者の感情的反応を上回るほどの妥当性を持つ主張によって納得を得るのはほぼ不可能だ」と付け加えた。
政府見通しも急激に悪化している。エネルギー省エネルギー情報局(EIA)が今月公表した予想では、北海ブレントの今年の平均価格は1バレル=約79ドル、米ガソリン平均小売価格を1ガロン=3.34ドルと、それぞれ従来に比べて37%と15%弱の上方修正になった。
来年についても国際原油価格の予想はおよそ22%、米ガソリン小売価格は8.4%前後も切り上がっており、供給の引き締まりと地政学リスクによってエネルギー価格の高止まりが続く見込みが浮き彫りとなっている。
LSEGのデータに基づくと、米原油先物の今年これまでの平均価格は1バレル=68.10ドルだが、現在から年末までの平均は85.25ドル、来年も71.35ドルで推移しそうだ。昨年平均は約64.70ドルだった。
ラボバンクのエネルギー・ストラテジスト、フローレンス・シュミット氏は、エネルギー価格の正常化はゆっくりとしか進まないだろうと話す。
「たとえ明日和平合意が締結されたとしても、(タンカー)航行とエネルギー輸送が完全に元通りになるには数カ月かかる」と説明し、原油価格は年末までにせいぜい70ドル台半ばまで下がるのが関の山ではないかと付け加えた。





