アングル:節約広がるロシア、外食不振で飲食店の閉店増加 高金利が重荷
閉店したベーカリー「ボンカフェ」のオーナー、エカテリーナ・オレシュキナさん(39)。モスクワで2月18日撮影。REUTERS/Anastasia Barashkova
Ekaterina Maksimova
[モスクワ 19日 ロイター] - ウクライナ戦争開始から4年、ロシアではレストランやカフェの閉店が開戦以降で最速のペースで進んでいる。富裕層の多いモスクワでさえ消費が停滞している。
首都モスクワから極東のウラジオストクに至るまで、街には閉店の跡が目立つ。これは、厳しい西側の制裁にもかかわらずこれまで驚くほど底堅さを示してきた、2兆8000億ドル規模のロシア経済が大幅に減速している兆しだ。
モスクワ南西部のベーカリー「ボンカフェ」では、ケーキやパンが棚から消え、エスプレッソマシンも沈黙したままだ。同様のカフェをチェーンで展開しているエカテリーナ・オレシュキナさん(39)は、行き詰まった事業へのくやしさをにじませながら座っている。
オレシュキナさんは、自分の子どもたちが装飾を手伝ったモザイク模様のテーブル越しに「開業時には、こんな不況は予想していなかった」とロイターに語った。
原材料価格が50%上昇し、家賃の高止まりと増税も重なってコストが膨らんだ。そして閑散期である1月が最後の引き金となった。この店は閉店したが、他のカフェは営業を継続している。
看板商品の「ナポレオン」ケーキは、1812年にロシアへ侵攻したフランス皇帝にちなむとされる。パイ生地とクリームを幾層にも重ねたミルフィーユ風の濃厚なデザートで、価格は1キロ当たり2850ルーブル(約5800円)、1切れ300ルーブル(約600円)だ。
しかし、多くのロシア人は裁量支出を削っている。特に費用のかかる外食の切り詰めは、2022年2月のウクライナ侵攻以来、最速のペースという。
<財布のひもを締めるロシアの人々>
プーチン大統領の精鋭経済チームの下、ロシアは過去4年間、約2万4000件の西側諸国による制裁に直面しながらも、ユーロ圏を上回る平均成長率を報告してきた。
しかし高金利や増税、物価上昇に加え、ロシア産原油が1バレル当たり20ドルのディスカウントで取引されていることが響いている。第2次世界大戦以降では欧州最悪となる戦争の影響をそこまで受けていなかった、人口2200万人のモスクワでさえ例外ではない。
首都商業施設では「テナント募集」の掲示が目立つ。ロシア調査会社オートスタットによると、小売や建設の景況を映す指標とされる小型商用車・トラックの新車販売は、2025年に38%減の14万7000台に落ち込み、26年初頭の数週間も減少が続いている。
経済全体の支出動向を把握する同国銀行最大手ズベルバンクのデータによると、1月の飲食店数は21年以来最大の減少幅を示し、25年11月-12月初旬のレストラン支出は3年ぶりの低水準を記録した。
コロナ禍の前にはロシア主要都市で外食産業のブームが起きており、この変化は特に顕著だ。開戦後は、前線で兵士が戦死・負傷する中でモスクワの「退廃的な軽薄さ」に反発した政治家もいた。
ズベルバンクのデータでは、実質消費支出の伸びが2月にゼロとなった。ゼロは過去2年で初めて。政府は23年の4.1%、24年の4.9%、25年の1%に続き、今年の経済成長率を1.3%と予測している。一方、国際通貨基金(IMF)は0.8%を見込んでいる。
ロシア中央銀行の調査によれば、11ものタイムゾーンにまたがるロシア全域で人々はより安価な選択肢を求めている。レストランではなくファストフードやスーパーの総菜、もしくはスーパーの割引食品。新車購入ではなく修理。そして冷え込む住宅市場といった具合だ。
中央銀行は「25年には首都でカフェやレストランの閉店が24年より増加した一方、テイクアウトコーヒー店の数は増加を続けている」と発表した。
<高金利の影響>
ロシアの関係筋は、経済に確かに問題はあるものの、依然として驚くほど好調に推移しており、経済崩壊説は時期尚早だと一蹴した。加えて、飲食店の閉店が相次いだからといって、プーチン氏がウクライナ政策の進路を変えることはないだろうとも述べた。
しかしながらプーチン氏は今月、政府と中銀の高官に経済成長率の回復を指示し、単なる物価監視に終始しないよう促した。そのわずか10日後、中央銀行は政策金利を0.5%引き下げ15.5%とした。
モスクワの大手金融サービス・FGフィナムのマクロ経済分析トップのオルガ・ベレンカヤ氏は、中央銀行が24年に金利を21%に引き上げたことで、ロシア国民は貯蓄を優先し、住宅ローン返済に努めていることを国の統計が示していると指摘した。
借入コストは、中小企業向けの無担保融資で主要銀行が年率18─19%程度を掲げている。消費者信用に対する融資枠を一部の貸し手が厳格化したこともあり、金利は中小企業と消費者に重くのしかかっている。
韓国美容品店「ベロビカ」の創業者兼オーナー、エレナ・バニコワさんは「うちは主に物販なので、常に新規で借り入れたり、既存の借入を借り換えたりしなければならない」と嘆いた。
「高金利は我々に非常に強い影響を与えている。借り換え金利が高いだけでなく、借り換え自体が極めて難しく、ほとんど不可能だ」
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