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米の和平案、ウィットコフ氏とクシュナー氏がロ特使と作成=関係筋

2025年11月23日(日)21時28分

 米政府が提示した28項目のウクライナ和平案は、ウィットコフ和平交渉担当特使とトランプ米大統領の娘婿クシュナー氏、ロシアのドミトリエフ大統領特別代表の協議によって策定されたことが複数の関係者の話で分かった。写真はウィットコフ氏に話しかけるドミトリエフ氏。サンクトペテルブルクで4月代表撮影(2025年 ロイター)

Erin Banco Gram Slattery

[ワシントン 22日 ロイター] - 米政府が提示した28項目のウクライナ和平案は、ウィットコフ和平交渉担当特使とトランプ米大統領の娘婿クシュナー氏、ロシアのドミトリエフ大統領特別代表の協議によって策定されたことが複数の関係者の話で分かった。米政権当局者や議員からは、米制裁対象になっているドミトリエフ氏とのいわば密室の協議で、ロシアに有利な和平案がまとめられたとの懸念の声が上がっている。

3者は10月末に米マイアミで会った。米高官によると、ドミトリエフ氏の米国への入国はトランプ政権が特別に許可したという。

関係者によると、3者の会合で和平案が作成された。ドミトリエフ氏が会合でロシア側の要求を提示し、それが和平案に盛り込まれたかは不明。

関係者は、ウクライナのウメロフ国家安全保障・国防会議書記は今週初め、ウィットコフ氏と和平案について話し合うためマイアミを訪れたと述べた。ウメロフ氏は自身の役割を「実務」と説明し、米政府高官と和平案について実質的な話し合いはしていないと説明している。同氏はロイターのコメント要請に応じなかった。

<寝耳に水>

米国務省や国家安全保障会議(NSC)の高官の多くは、和平案について説明を受けていなかった。ウクライナ担当のケロッグ特使も、ウィットコフ氏とドミトリエフ氏が主導する協議から外されていたという。

国務省のピゴット首席副報道官は、ルビオ長官がウクライナの戦争を終結させるための計画策定の全過程に密接に関与してきたと述べた。

しかしロイターが取材した米政府関係者などはこれに反論。ある政府関係者は、和平案にはルビオ氏が以前拒否した内容が含まれていると述べた。

米政権内部や議会では、ウィットコフ氏とクシュナーが省庁間のプロセスを回避してドミトリエフ氏と話し合い、その結果、ロシアの利益を優先させた和平案が作られたとの懸念が出ている。

上院軍事委員会のウィッカー委員長(共和党)は「このいわゆる『和平案』には現実的な問題があり、それが平和をもたらすとは極めて懐疑的だ」と述べ、「ウクライナは、世界で最も悪名高い戦犯の一人であるプーチン(ロシア大統領)への領土割譲を強制されるべきではない」とした。

ロイター
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