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アングル:アマゾンが配送効率化で続々と新機軸、AIやスマートグラスにロボットも

2025年10月27日(月)09時16分

 米アマゾン・ドット・コムは日用品をより迅速に顧客へ届ける努力を脇目も振らずに続けており、人々が期待する配送時間は2日から即日、ついには1時間以内にまで縮まってきた。写真はアマゾンの配達員が配送用カートを引く様子。2021年11月、ニューヨークで撮影(2025年 ロイター/Brendan McDermid)

Greg Bensinger

[ミルピタス(米カリフォルニア州)  22日 ロイター] - 米アマゾン・ドット・コムは日用品をより迅速に顧客へ届ける努力を脇目も振らずに続けており、人々が期待する配送時間は2日から即日、ついには1時間以内にまで縮まってきた。そして今、ロボット、人工知能(AI)に加え、スマートグラスまで駆使して数秒単位の時間短縮を目指している。

「ラストマイル配送(顧客への配送プロセスの最終段階)」に関する問題を重視する同社が、その対応の一環として22日のイベントで披露した配達員用スマートグラス(開発コード名アメリア)は、移動中に現在地や進行方向に応じて適切なルートを表示してくれる小型スクリーンを備え、荷物のバーコード読み取りや、配達証明書の写真撮影ができる。

配達員は現在、大きくて持ち運ぶのが面倒なGPS(全地球測位システム)デバイスを利用しており、これらを置き換えることが可能になる。装着するベストの中に置かれたコントローラーで作動し、交換式電池の採用で長時間使用にも耐えられるようになった。

ラストマイル配送対応を巡ってアマゾンは昨年、荷物のバーコード読み取り時間を数秒短縮できる配達用バンのスキャナーを公開した。今年6月には、グーグルマップよりもずっと精密な新しいデジタル地図を記者団に示している。

輸送担当バイスプレジデントのベリル・トーメイ氏は、既に数百人の配達員がこのスマートグラスを自分たちのルートで試していると説明した。

トーメイ氏はイベントで、スマートグラスについて「携帯電話や荷物の管理をする手間が少なくなる。配達員は注意力を保てるので、彼らの安全性を高められる」と強調。その後、アマゾンの計測では一部の配送で30秒の時間短縮が実現されたと述べた。

一方でトーメイ氏は、スマートグラスの利用は配達員と契約企業にとってはあくまでも任意とし、利用する場合は無料で配布する方針を示した。現時点でスマートグラスは実験中の段階にあり、今後の計画は依然流動的だとしている。

アマゾンは22日、倉庫の棚から商品を取り出し、仕分ける作業を人間と協力して行うロボットアーム「ブルージェイ」も公表した。受注から配送までのプロセスをより迅速かつ正確に遂行するのが狙いで、従業員の負傷リスクを減らせるほか、従来のロボットよりも狭いスペースで活動ができるとしている。

ブルージェイは米西部カリフォルニア州の南部にある倉庫で使われており、今後数カ月間に導入先を拡大する。

また、アマゾンは南部テネシー州を皮切りに、各倉庫へAIシステムを導入する計画を打ち出した。作業の渋滞や遅延につながる問題発生を防止する機能を備えるとされるが、詳しい計画の内容は明らかになっていない。

ロボット部門チーフテクノロジストのタイ・ブレイディ氏は22日のイベントで、倉庫の現場でデータのリアルタイム分析が可能な手段を手に入れたと強調。全面的に導入されれば、作業員が毎日の計画を立てる上で役立つと訴えた。

ロイター
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