インタビュー:外交で「高市カラー」は難易度高い、外国人政策優先か=東大・佐橋教授

国際政治が専門の佐橋亮・東京大学教授はロイターとのインタビューで、高市早苗新首相は政権基盤が弱いことから外交で独自色を発揮するのは難易度が高いとし、外国人問題など国内立法で対処可能な政策を優先して保守色の強い「高市カラー」を出そうとする可能性があるとの見方を示した。写真は21日、都内で代表撮影(2025年 ロイター)
Kentaro Okasaka
[東京 22日 ロイター] - 国際政治が専門の佐橋亮・東京大学教授はロイターとのインタビューで、高市早苗新首相は政権基盤が弱いことから外交で独自色を発揮するのは難易度が高いとし、外国人問題など国内立法で対処可能な政策を優先して保守色の強い「高市カラー」を出そうとする可能性があるとの見方を示した。
韓国で来週予定される米中首脳会談で台湾問題が議題に上るとみられることに関しては、トランプ大統領が仮に中国側に譲歩する姿勢を取っても、高市政権が及ぼせる影響力は極めて小さいと語った。
―高市新首相の外交政策の方向性をどう見るか。
日本維新の会との連立政権合意書に「自立する国家」と書かれている。高市氏自身もかなり保守的な国家観を持っており、外交においても言うべきことはしっかり言うというスタンスだろう。ただ、外交日程が差し迫っている中、最初から本領発揮する準備ができるわけもなく、安全運転でいくだろうし、いかざるを得ないだろう。
対米関係の維持と国際舞台でのデビューをそつなくこなすことが最初のハードルだ。維新との連立も閣外協力にとどまっていて、政権基盤も党内基盤も弱く、安全運転を超えていくにはそれなりの時間を要するだろう。
―注目すべき閣僚人事は。
腹心の42歳の小野田紀美参院議員を経済安全保障相として初入閣させた。(総裁選の)恩賞という面もあるだろうが、自分の忠実なスタッフ、閣僚をつくったということだ。外国人政策も担当し、外国人の土地取得問題やビザ、中国人留学生の扱いといった外国人問題が「取り組みやすい対外政策」として登場してくることはあり得る。基盤の弱い首相からすると、難しい米中韓外交よりも、国内立法でできるところから先にやって保守色、高市カラーを出すことはあり得るだろう。
一方、茂木敏充外相や赤沢亮正経済産業相は以前にトランプ米大統領と(貿易や関税交渉で)向き合った経験があり、何が出てくるか分からない怖さを知っている。今回の政権に対して世間が比較的懸念しているのはトランプ氏との相性だ。対米関係を最初から揺さぶっても支持率が上がることはなく、外交音痴に見えてしまう。だからこそ経験値の非常に高いこの2人を起用したのは、かなり良い布陣なのではないか。
―懸念の声もある対中韓外交については。
中国に対しては、(日本国内の)中国人問題と中国への動きは異なるだろう。今この段階で中国に厳しく出る合理的な必然性はない。中国の方がむしろ日本との外交をしたがっているからだ。国内では経済が落ち目だし、軍幹部が規律違反で党籍剥奪処分を受けるなど政治的に混乱している。こうした中で中国としては日中韓も日中関係も進めたい。合理的に考えて中国とけんかをする理由はないということは分かっているだろう。
韓国に関しても、進歩系の李在明政権も日本を見てくれており、ここでもけんかをする必要はない。逆に、自分から状況を悪くするとトラップにはまってしまう。相手との押し問答になり、作用反作用の法則でどんどん状況が悪化し、その責任で詰め腹を切らされるかもしれない。外交でそんなことをやるほどの政権体力はない。
―トランプ氏は、来週の習近平国家主席との会談で台湾問題が議題に上ると想定していると語った。米国が台湾の独立を巡るスタンスを調整する可能性はあるか。高市政権はどう対応すべきか。
台湾の独立に反対すると明言するとか、台湾の統一に関して中国政府の取り組みを肯定的に評価するとか、台湾への武器売却について何か言ってしまうとか、こういったことをトランプ氏に公開の場で言われてしまうと非常に良くない。習近平政権にとっては、仮に台湾関係で新たなポジティブな要素を引き出せたら大きな成果になる。習氏の正当性を高めるし、台湾の政治にも非常に大きな影響を及ぼす。ただでさえ落ち目の頼清徳政権を背後から撃ってしまうことになる。だが、こういったことに対して他国が及ぼせる影響はない。
トランプ氏の同盟観は、完全に道具だ。金づちのようなもので、金の小づちのように振ってお金が出てくるとうれしいし、誰かをたたく時に使えたらうれしいが、道具がしゃべったらおかしいし、そんな道具は意味がない。まして高市氏が初っ端で何か言っても聞く相手ではない。
台湾海峡の平和と安全のような話を言ってもらうのが関の山だが、米中のディールには関係しない。米朝関係も同じで、トランプ氏が(金正恩総書記と会うため)板門店に行くと言っても止められない。日本が及ぼせるレバレッジは極めて小さく、むしろ新たな状況にも対応できる準備が必要になる。
(聞き手・岡坂健太郎 編集:久保信博)
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