アングル:中国人民銀は早期利下げ回避か、経済減速も株過熱でジレンマに直面

中国人民銀行(中央銀行)は、弱い経済を下支えする必要がある一方で、株式市場の過熱をあおるのは望ましくないというジレンマに直面しており、目先の金融緩和を回避する公算が大きい。5月7日、北京で撮影(2025年 ロイター/Tingshu Wang)
Kevin Yao
[北京 12日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)は16-17日の連邦公開市場委員会(FOMC)で予想通り利下げを決めるべく、着々と準備を進めている。しかし中国人民銀行(中央銀行)は、弱い経済を下支えする必要がある一方で、株式市場の過熱をあおるのは望ましくないというジレンマに直面しており、目先の金融緩和を回避する公算が大きい。
政策当局者は雇用や社会の安定を脅かしかねない急激な成長減速を防がなければならないが、同時に2014-15年のように積極的な金融緩和と個人投資家の熱狂が市場崩壊を引き起こした過ちを繰り返すことは避けたいと考えている。
FRBの利下げによって人民銀行には、資本流出や人民元安のリスクを抑えつつ金融緩和を行う余地が生まれるかもしれない。しかし関係者によると人民銀行はFRBの動きにすぐに追随せず、経済指標が明確な方向性を示すのを待つ可能性が高い。
中国の金融政策当局内部の協議に関与する消息通は匿名を条件に「FRBによる利下げの可能性でわれわれは金融政策の余地が大きくなるかもしれないが、必ずしも(FRBに)追随する必要はない」と指摘。「政策対応は(中国)経済の状況次第だ。株式市場はこのところ非常に活発で、もし利下げすれば火に油を注ぐことになりかねない」と話した。
野村証券の首席中国エコノミストの陸挺氏は、株式市場の上昇が続くなら、人民銀行はバブルを助長しないようにするために目先の利下げを見送ると予想する。ただ、株式市場が調整すれば、数週間以内に10ベーシスポイント(bp)程度の小幅な利下げを実施する可能性もあるという。
「はっきりした形で利下げすれば株式市場のバブルをあおるリスクがあるが、何もしなければ成長減速を悪化させるリスクがある」と陸氏は調査ノートで言及。「中国政府はこうしたジレンマに直面しており、今後数カ月は慎重に動くべきで、人民銀行は9月にFRBの利下げに追随することには消極的だろう」と予想した。
<株式と経済の温度差>
アナリストらは依然として中国株に強気な姿勢を崩していない。相場の上昇は機関投資家が主導しており、個人投資家はようやく参入し始めた段階だという。中国の家計は消費や投資に慎重で、貯蓄は過去最高の160兆元(22兆4500億ドル)に達している。
中国は長引く景気減速に苦しんでいる。技術革新や製造業の発展が従来型産業の減速を十分に補えず、雇用不安が高まっている。
最近の統計は状況がすぐに好転する見込みが薄いことを示している。7月鉱工業生産は伸びが8カ月ぶりの低さで、小売売上高は落ち込み、新規人民元建て融資は20年ぶりに縮小した。
8月の輸出も減速し、米国が対中国相互関税の適用停止期限を延長した効果が薄れたことで、追加的な財政刺激策を求める声が高まっている。8月の主要経済指標の発表を前にアナリストの間では新たな支出計画や住宅支援策が打ち出されるとの予想も出ている。
中国は政策刺激策や米相互関税の停止延長が追い風となり、第2・四半期国内総生産(GDP)成長率が5.2%増となった。そのため第3、第4・四半期の成長率が5%を下回っても今年通年の成長目標は達成が可能で、大規模な刺激策を求める圧力は和らぎそうだ。しかし雇用を脅かしかねない急激な減速は警戒を要する。
マッコーリーの首席中国エコノミスト、ラリー・フー氏は「弱いデータが2カ月続けば、政府は新たなミニ刺激策、特に住宅関連でこうした施策に踏み切る可能性がある。最近やや後退気味の財政政策も強化される可能性がある」と見ている。
<緩やかな緩和>
人民銀行は今年に入ってからの金融緩和が市場予想を下回っているが、これは米相互関税の停止延長で輸出が年序盤に押し上げられたことが一因。しかしこうした綱渡り状況は不安定さを増しており、中国の経済と市場にとってリスクは高まっている。
人民銀行は株式市場を下支えする重要な役割を担っており、スワップ制度や再貸付制度などターゲット型の手法で機関投資家に株式購入資金を供給してきた。
当局は、株価上昇が不動産危機で傷ついた家計のバランスシートを修復し、消費や景気全体を押し上げることを期待している。しかしアナリストらは株高による経済効果は限られると警鐘を鳴らしている。
足元の政策金利は1.4%と過去最低水準で、18年の米中貿易戦争開始以来115bp引き下げられた。加重平均の預金準備率(RRR)も6.2%と過去最低にある。
2人目の政策当局関係者は「中国は米国とは異なり、継続的に金融緩和を進めてきたため、追加利下げの余地は非常に限られている」と述べた。
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