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ロシアの凍結資産を奪う国の責任追及=メドベージェフ氏

2025年09月16日(火)09時46分

 9月15日、ロシア安全保障会議副議長のメドベージェフ前大統領は、通信アプリ「テレグラム」に投稿し、欧州連合(EU)が凍結されたロシア資産をウクライナ支援に活用する新たな方策を模索しているとの報道について、自国資産を奪おうとする欧州のどの国に対しても責任を追及すると警告した。写真は新型車両を受け取るロシア軍関係者。2月23日、ロシアのロストフ・ナ・ドヌで撮影(2025年 ロイター)

[モスクワ 15日 ロイター] - ロシア安全保障会議副議長のメドベージェフ前大統領は15日、通信アプリ「テレグラム」に投稿し、欧州連合(EU)が凍結されたロシア資産をウクライナ支援に活用する新たな方策を模索しているとの報道について、自国資産を奪おうとする欧州のどの国に対しても責任を追及すると警告した。

米国と西側の同盟国は2022年、ロシアのウクライナ侵攻開始後、ロシア銀行(中央銀行)およびロシア財務省と取引を禁止し、3000億―3500億ドル相当のロシアの国家資産を凍結した。その大半は欧州の証券保管機関に保有されている欧州、米国、英国の国債だ。

ロイターは欧州委員会のフォンデアライエン委員長が欧州に凍結されているロシア資産に関連する現金残高を活用して、EUがウクライナの防衛費を調達するための新たな方策を模索するよう望んでいると報じた。

米政治専門ニュースサイトのポリティコによると、ロシアは償還期限を迎えた国債から得ている投資収益を欧州中央銀行(ECB)に預金しており、欧州委がこの資金を基にウクライナ向けの「賠償ローン」を設立する計画を検討していると報じた。

メドベージェフ氏は「もしこうした計画が実行されれば、ロシアはEU加盟国やわれわれの財産を奪おうとする欧州委の堕落した者たち、そして加盟各国の責任をどこまでも追及するだろう」と述べた。

メドベージェフ氏はロシアが「可能な限りあらゆる手段」で「全ての国際裁判所および国内裁判所」で、さらに「法廷外」でもEU各国を追及すると述べた。

ロシアは自国資産の差し押さえが西側による「窃盗」であり、米国や欧州の国債と通貨に対する信頼を損なうだろうと述べている。

欧州各国はロシアがウクライナの破壊に責任があるとし、ロシア政府に賠償金の支払いを強制するべきだとしている。

しかし、一部の銀行関係者は国家資産の差し押さえについて懸念を示す。もしそのような対応が前例となれば、自国の資金を西側の国債に投資し続けようとする外国政府の信頼感を損ないかねないからだ。

ロシア国営通信RIAによると、西側各国はロシア経済に総額2850億ドルの外国直接投資をしており、ロシア資産が差し押さえられれば、こうした西側投資が対抗措置の対象となるリスクがあり得るという。

ロイター
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