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欧州首脳、停戦交渉にウクライナ関与呼びかけ トランプ氏3者会談に前向き

2025年08月14日(木)04時45分

独仏などの欧州首脳は13日、トランプ米大統領とオンライン会合を開き、ロシア・ウクライナ戦争の停戦実現に向け協議した。写真はウクライナのゼレンスキー大統領とドイツのメルツ首相。ベルリンで同日撮影(2025年 ロイターJOHN MACDOUGALL/Pool via REUTERS)

[ワシントン/ベルリン 13日 ロイター] - 独仏などの欧州首脳は13日、トランプ米大統領とオンライン会合を開き、ロシア・ウクライナ戦争の停戦実現に向け協議した。会合にはウクライナのゼレンスキー大統領も参加。欧州首脳は15日にロシアのプーチン大統領との会談を控えるトランプ氏に対し、停戦協議にはウクライナの関与が必要と訴え、慎重な対応を呼びかけた。

オンライン会合はドイツの呼びかけで実施。ゼレンスキー氏はベルリンを訪問し参加した。ドイツのメルツ首相はゼレンスキー氏との共同記者会見で、安全の保証が守られる形でのウクライナ停戦の条件をトランプ氏に示し、「ウクライナが交渉の席に着かなくてはならないと明確に伝えた」と言及。「交渉が正しい順序で進むことを望んでおり、まず停戦から始めなくてはならない」と述べた。

また、ウクライナには領土問題について交渉する用意があるとしながらも、「ロシアによる占領を法的に承認することは議論の対象にならない」と言明。ウクライナには「強固な安全の保証の確約」が必要だと述べた。ただ、具体的には明らかにしなかった。

トランプ大統領が15日に米アラスカ州のアンカレッジでプーチン大統領と行う会談を巡っては、ウクライナと欧州の同盟国はトランプ氏がプーチン氏に歩調を合わせウクライナに不利な条件で合意を取り付ける可能性を懸念。メルツ氏は、武力による国境変更は認められないという原則は引き続き適用されなければならないとした上で、米ロ首脳会談でロシア側からの進展が見られなければ、米国と欧州はロシアに対する圧力を強めなければならないとし、トランプ氏は欧州のこうした立場を理解し、おおむね同意していると語った。

フランスのマクロン大統領によると、トランプ氏はウクライナの領土問題を巡るいかなる協議にもウクライナが関与しなければならないとの考えに同意。トランプ氏は、ウクライナの領土についてはウクライナ大統領のみが交渉するという認識も明確に示したという。

ゼレンスキー氏は、停戦実現を最優先し、信頼できる安全の保証が必要になると改めて表明。「ウクライナに関するあらゆる事項はウクライナの関与があってのみ協議されなくてはならない」と述べた。ゼレンスキー氏によると、トランプ氏は戦争終結後の安全の保証を確約したという。

トランプ氏はオンライン会合後、「非常に良い会合で、10点満点で評価したい。極めて友好的だった」と言及。15日に予定されるプーチン氏との会談がうまくいけば、ウクライナのゼレンスキー大統領を含めた3者会談を早急に行いたいと述べた。関係筋によると、今回のオンライン会合で3者会談を開く可能性のある都市についても協議された。

トランプ氏は同時に、プーチン氏がウクライナ和平を阻害すれば「厳しい結果」に直面すると改めて警告した。具体的には明らかにしなかったが、これまでにアラスカでの会談で進展が得られなければロシアに経済制裁を科すと述べている。

ロイター
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