自然災害の保険金支払い、上期800億ドル 過去10年平均の2倍

8月6日、スイス再保険研究所は、2025年上半期の自然災害による全世界の保険金支払い額が暫定値で推定800億ドルに達したとの報告書をまとめた。写真はロサンゼルス近郊のパシフィック・パリセーズで発生した山火事の跡。1月16日、マリブで撮影(2025年 ロイター/Mike Blake)
Manya Saini
[6日 ロイター] - スイス再保険研究所は6日、2025年上半期の自然災害による全世界の保険金支払い額が暫定値で推定800億ドルに達したとの報告書をまとめた。
米カリフォルニア州の山火事や、米国での激しい雷雨が主因。過去10年平均のほぼ2倍となる水準で、保険業界が気候変動リスクの増大に直面していることが浮き彫りとなった。
損害リスクの上昇を受け、保険会社は引き受け基準の厳格化や保険料の引き上げを進めており、リスクモデルの見直しも強化している。
25年通年の保険金支払い総額は1500億ドルを上回る可能性がある。自然災害の多くは年後半、特にハリケーン・シーズンに集中する傾向がある。
報告書では「今年のハリケーン活動は平年並みから平年より多めと予想され、3─5個の大型ハリケーンが発生する見込みだ。長期平均の3個を上回る水準となる」としている。
今年初めにロサンゼルス近郊のパシフィック・パリセーズで発生した山火事では、2万3000エーカー以上が焼失し、多数の住宅や商業施設に被害が出た。
この山火事の保険金支払い額は推定400億ドルに達し、単一の山火事としては過去最大規模となった。
報告書によると、山火事による損失は過去10年で急増している。気温上昇、干ばつの長期化、降雨パターンの変化に加え、都市郊外の無秩序な拡大や高資産エリアの集中が影響しているという。
こうした中、カリフォルニア州の保険市場は強い圧力にさらされている。火災、洪水、地滑りなど多様な気候リスクへの対応が求められており、保険会社が新規契約の引き受けを制限したり、一部地域から撤退するといった事例が出ている。