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インタビュー:政権安定化へ連立拡大、首相の交代必要=斎藤前経産相

2025年08月06日(水)17時38分

 岸田文雄内閣で経済産業相を務めた斎藤健・自民党税調副会長(写真)はロイターとのインタビューで、衆参ともに少数与党に転落した自公が安定した政権運営をするには「新たな総裁の下で新たな連立の道を探るのが一番」と述べ、石破茂首相の交代が必要との見方を示した。2024年6月、ワシントンで撮影(2025年 ロイター/Nathan Howard)

Yoshifumi Takemoto Leika Kihara

[東京 6日 ロイター] - 岸田文雄内閣で経済産業相を務めた斎藤健・自民党税調副会長はロイターとのインタビューで、衆参ともに少数与党に転落した自公が安定した政権運営をするには「新たな総裁の下で新たな連立の道を探るのが一番」と述べ、石破茂首相の交代が必要との見方を示した。斎藤氏は次期首相候補の1人に名前が挙がるが、自身が党の総裁選に出馬する可能性は否定した。

経済・金融政策を巡っては、米国の関税措置が自動車業界の収益を下押しし、賃上げと物価上昇の好循環に水を差す恐れがあるとして、日銀の早期利上げに慎重な姿勢を示した。

<「壊滅的な敗北」>

斎藤氏は7月の参議院選挙で与党が敗北した原因について、「電気料金やガソリンの抑制策、給付金や所得減税など、自民党の政策をトータルで見てくれと訴えたが響かなかった」と分析。「衆参ともに与党過半数割れは自民党史上初。壊滅的な敗北との前提で考えないと自民党は次の衆院選でも負ける」と語った。

安定した政権運営のため連立を拡大する必要性に言及し、「国民民主も維新も石破さんとは組めないと言っている。自民党は新たな総裁の下で新たな連立の道を探るのが一番」と述べた。その上で、新たな自民党総裁について、「『自民党が変わった』と期待してもらえる人」と表現した。

斎藤氏は2024年の党総裁選に出馬を目指したが断念し、小泉進次郎氏(現農林水産相)の支持に回った経緯がある。自身が再び出馬を模索する可能性については「自分はそういうタイプでない」と語った。

連立を拡大する場合、新たに加わる政党の党首が首相になる可能性は否定しなかった。「首相ポストをよこせと言ってきた場合、応じる可能性はある。ただし政策とセットだ。消費減税を求められれば自民はのめないのでないか」と話した。

<年内日銀利上げに否定的>

斎藤氏は今後の自公政権の経済政策について、「給料の上がる王道の経済政策をとるべき」とし、「ようやく国内投資が100兆円を超え、春闘の賃上げ5%も実現できた。30年間続いたデフレ脱却を進める良いタイミングだ」と述べた。「消費税減税は望ましくない」とする一方、参院選で与党が公約に明記した給付金は「対象を本当に困っている人々に限定すべき」と語った。

日銀の追加利上げには慎重な立場を示し、「政府と日銀の連携が必要」と述べた。「経済に水を差してしまえば元も子もなくなる」とした。

1990年代に通商産業省(現経産省)の官僚として日米自動車摩擦を経験・担当した斎藤氏は、日米で合意した自動車関税に懸念を示し、「15%に引き下げる際、引き下げの実施時期も詰めるべきでなかったか」と述べた。

「(関税によって)自動車メーカーは、デフレからの脱却に必要な賃上げの余力や価格転嫁の余力がなくなる心配」があると指摘。「自動車業界にはせっかくの賃上げの動きに水を差さない方向での努力をお願いしたい」と話した。

(竹本能文、木原麗花 編集:久保信博)

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