スイス政府、39%の米関税回避へ大わらわ 4日に緊急閣議開催

スイスのパルムラン経済相は、トランプ米大統領がスイスに提示した39%の関税率発動を回避するため、政府として迅速に提案内容を見直す姿勢だと表明した。写真は1月29日、スイスのベルンで撮影(2025年 ロイター/Denis Balibouse)
John Revill
[チューリヒ 3日 ロイター] - スイスのパルムラン経済相は、トランプ米大統領がスイスに提示した39%の関税率発動を回避するため、政府として迅速に提案内容を見直す姿勢だと表明した。
チューリヒ工科大学(ETH)の経済学者ハンス・ゲルズバッハ氏は、39%の関税が適用されればスイスの国内総生産(GDP)は0.3-0.6%押し下げられ、さらに医薬品に別途関税が課された場合は押し下げ幅が0.7%を上回りかねないと予想。混乱が長引けばGDPは1%超も低下し、景気後退リスクが生じると警告している。
こうした中でスイスは4日に緊急閣議を開き、次の対応を話し合う予定。パルムラン氏は、39%の関税が発動される7日より前に政府は行動すると強調した。
パルムラン氏は「われわれは何が起きたか、なぜトランプ氏がこのような決定を下したかを完全に理解する必要がある。その結論が出れば、どうすべきかを決められる」と語った。
またパルムラン氏は、トランプ氏が米国のスイスに対する貿易赤字を重大視している点に言及し、スイスが米国産液化天然ガス(LNG)を購入することなどが検討されていると明かした。スイス企業の対米投資を一段と増やす案も考えられるという。
その上で「しかし継続中の協議の土台として十分だと確信するために、われわれは米国が何を期待するのかを全て把握しなければならない」と説明した。
パルムラン氏は、必要であれば同氏ないしケラーズッター大統領が米首都ワシントンに飛んで協議する用意もあると付け加えた。
複数の報道では、7月31日に行われたトランプ氏とケラーズッター氏の電話会談が険悪な雰囲気となったため、関税率が想定より引き上げられたとされる。
ただスイス政府高官の1人はロイターに「会談は成功せず、スイスにとって好ましい結果にならなかったが、口論はなかった。トランプ氏は最初から10%の関税では不十分だという姿勢を明確にしていた」と語った。