ゼレンスキー氏、「新たな欺瞞」とロシア非難 和平覚書示されず

5月29日、ウクライナのゼレンスキー大統領(写真)はロシアから和平条件を記した覚書案を受け取っていないと述べ、ロシアによる「また新たな欺瞞」だと非難した。写真は28日、独ベルリンで撮影(2025年 ロイター/Annegret Hilse)
[キーウ 29日 ロイター] - ウクライナのゼレンスキー大統領は29日、ロシアから和平条件を記した覚書案を受け取っていないと述べ、ロシアによる「また新たな欺瞞」だと非難した。
毎晩のビデオ演説で「彼らが約束し、1週間以上前から準備していたと思える、いわゆる『覚書』さえも、いまだに誰の目にも触れていない」と指摘。「ウクライナはそれを受け取っていない。われわれのパートナーも受け取っていない。最初の交渉を主催したトルコでさえ、新たなアジェンダを受け取っていない」と語った。
ロシアのラブロフ外相は28日、ウクライナ紛争における和解の立場を記した覚書案をまとめたと表明。6月2日にトルコのイスタンブールで2回目の直接交渉を行うことを提案した。
ロシア大統領府のペスコフ報道官は29日、イスタンブールでの再交渉に参加するかどうかの返事をウクライナから受け取っていないと述べた。
ゼレンスキー氏は演説で、ロシアが「交渉を空虚なものにするためにあらゆることをしている」と述べ、ウクライナのパートナーは対ロ圧力を強化する必要があると訴えた。
ウクライナ外務省報道官は、ロシアの覚書案を確認できなければ、「(同案が)非現実的な最後通牒で満たされている可能性が高く、和平プロセスを引き延ばしていることが明らかになるのを彼らが恐れている」と結論付けるだろうと述べた。
ウクライナのシビハ外相は、ロシアは直ちに覚書案を示すべきとの認識を示している。
ペスコフ氏はこれについて「非建設的」だと一蹴。「交渉を続ける用意があるのかないのか、どちらかを確認しなければならない」と語った。